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スレッドNo.7295

感想と評 5/29~6/1 ご投稿分 三浦志郎

1 上原有栖さん 「猫叉」 5/29

このタイトルで調べると、「日本民間伝承上の猫の妖怪」―はなはだ単純にして明快。
しかし、本作には、おどろおどろしいところはひとつもなく、懐かしさと愛惜に満ちて優しいものです。
そこがこの詩の身上です。老いて亡くなったのですね。自然死と思いたい。老いた猫に触れることで、初めて伝説的なことに触れています。僕は猫が好きでも嫌いでもなくフツーなのですが、極端な猫好きが友人にいたので、その想いは充分にわかるつもりです。(かつていた、けれど今はいない)―そんなシンプルな事実なのですが、それだけに、この悲しみは抑制されながらも静かに美しく詩に託されているようです。佳作を。

アフターアワーズ。
調べたところ、藤原定家「明月記」に「猫叉が一晩で数人の人間を食い殺した~目はネコのごとく、体は大きい犬のよう」とあり、
吉田兼好「徒然草」では「奥山に、猫またといふものありて、人を食ふなると人の言ひけるに」とあるそうです。両書とも比較的資料性の高い文献ですが、さて、その真偽はいかがなものか?


2 石川ぼうずさん 「消えた沈黙」 5/29 初めてのかたなので、今回は感想のみ書かせて頂きます
よろしくお願い致します。
時間は全き客観事実ですが、それを扱い感じる人間という主観は詩世界において、多彩に書けるモチーフのひとつでもあります。
出だしはカフカ「変身」を思わせるものがあり、2連の事例の出し方はなかなか好きですね。「時間の節約力の凄さ=時間が待てない」。
これが症状なのですが、あまりに時短意識が強いとやはり不幸が訪れるのが常ですね。詩中にも例示されている通りです。
ゆっくりとした時間の流れに価値がある時でもおかしなことになってしまう。結果、恋人も友人も去ってゆく。現代人が陥りそうな通弊を上手く寓話に仕立てて語ってくれました。タイトルの付け方が少し変わって面白いです。 ぜひ、また書いてみてください。


3 トキ・ケッコウさん 「傘を干す」 5/31

梅雨を前にしてのモチーフ、そんな気もしますね。
まず読んで感じるのは空への尊敬の念です。そしてトキさんの空への謙虚な態度です。
いっぽうで考えるのは傘の本質です。傘とは防具です。空に抗って自分の身を守る物のことです。
(果たして、空に対して、それでいいのだろうか?不遜ではないのか?)。そんな懐疑が1連の終わり2行に滲んでる気がしています。そんな思いから、2連、傘を差さずに歩きます。そして意識はしだいに傘に向かうような気がします。「虹が傾いてきたら」は雨があがったのでしょうか。引き続き傘について僕は考えています。“降っても晴れても”傘とは空に対して開いている状態こそ正常であり礼儀である、そんな風に思っています。上記までは僕の身勝手な解釈・感想ではありますが、この詩がそんな解釈上のアプローチを僕にくださった、そんな風に思っております。けっして難しい言葉を使わずに、含蓄も詩心もあるものを達成されている。”書ける”詩人さんですね。佳作です。。


4 音羽シュンスケさん 「各駅停車初夏行き」  6/1 初めてのかたなので、今回は感想のみ書かせて頂きます。
よろしくお願い致します。ペンネームがシャープでかっこいいですね。作品もペンネームのように爽やかでかっこいいです。初連の前2行と後2行、なかなかの個性を感じさせる書き方です。急行と各駅の関係の発想がとてもユニーク。2連は爽やかな気分に満ちて、朝のフィーリングと季節の狭間もよくわかる。何より抒情が適度なスピードに乗っているのがわかります。これだけのスペースでの演出もジャスト感があっていいですね。とてもフレッシュ。好感が持てました。ぜひまた書いてみてください。


評のおわりに。

さて、6月。上半期の最後。そして梅雨。
1年の折り返し点がそれぞれ雨で飾られるのは、なかなかに面白い風情がありますね。
では、また。

編集・削除(編集済: 2026年06月06日 19:15)

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