青空 妻咲邦香
歩いて行こうと決めたんだ
歩ける所まで
誰も見つけていないし
見つかってもいない
夢さえ見てないし
見させてもらえない
だから幸せだった
だからそれで良かった
壊したいものは僕しか知らない
壊したくないものでも
僕しか触れられない
まだ「ふりだし」の枠の中
一歩踏み出せばあとは虚空の物語
もっと深い場所で逢おうと君は言った
僕にしか描けない絵を知っていたのか
誰にも同情されたくない
またやれるさと軽く答えて
後ろ姿を見送った
その時僕は変われるような気がしたんだ
何故だろう
しばらく動けない身体で
幻影を追いかけた
君は泣いていた
それは一瞬だった
世界はさぞかし上出来だったろう
歩いて行こうと決めたんだ
歩いて、このまま歩いて
いつか倒れてしまうまで
太陽の下、旅は案外短かった
本当の旅はまだ続いてて
何度でも君を選ぶ
何度でも
何度でも
選ぶ
選ぶ
選ぶ
選ぶ
もう選べなくなるまで
君を選ばせて
最後くらいは違っててもいいけど
飽き飽きする程寄り道させて
永遠なんて欲しくない
真実なんて必要ない
ただずっと隣りにいたかった
今もそう
多分これからも
誰と結ばれても
誰を愛しても
目に映るのは青空ばかり