すれ違う、 石川ぼうず
とりあえず私の話を聞いてください
いつからか色をなくした私が
当たり前になっていた
誰かと目が合うこともなく
誰かに話しかけられることもない
出勤もなければ
帰宅する場所もない
ひがな一日やることもない
私は街中を意味もなく歩き回り
そして 疲れ果て休む
それが私にできる精いっぱい
私の世界は私の悲しみでいっぱいだった
医師の門をたたき
古い本を読み
怪しげな霊媒師も訪れた
けれど
私の色は少しも戻らない
ある夕方
しとしとと小雨の降る公園のベンチ
うつむき
雨に濡れ途方に暮れる
向こうから傘もささず
うつむき歩いてくる色のない少女
「こんにちは」
私は下を向いたまま
その声に耳を傾けず
雨に打たれるがままだった
ただそれだけの話
最後まで話を聞いてくれてありがとう