美味しく 相野零次
美しい花の蜜になってしまいたい
僕が蕩けても苦くておいしくない
のはなんとなくわかる
フロに入ってきれいになっても
内側から50年かけてたまった
渋柿のようなエグみは取れないだろう
一度内側から沸騰させれば
だいぶ甘くなるだろうけど
そんなことをすれば死んでしまう
横断歩道を渡る子供たちを先導したり
重い荷物を運ぶおばあちゃんの荷物を
持ってあげたりすれば
少しはマシになるかも
それに蜂蜜や練乳を一気飲みしたり
身体中に水飴を塗ったくったりすれば
さらにマシになるかも
だけどそうしたところで
誰に食べさせるんだい?
鬼か悪魔?ピラニアかライオン?
食べてくれないだろうなあ
食べられるのは痛いだろうなあ
誰か僕を美味しく気持ち良く食べてください