ころり、と幸せ 石川ぼうず
みかんが にこにこ
ころりと
手のひらの上で
小さな太陽みたい
それを見て
僕も つられて にこにこ
「おはよう」
―― おはよう
「今日は ごきげんだね」
―― いつもこんな感じだよ
みかんをぐるっとまわしてみる
どこから見ても にこにこ
僕の顔も にこにこ
「怒ることって ある?」
―― ないよ
「じゃあ 逆さまにしても?」
―― いいよ
世界は逆さまの方が
ちょっと面白いから
くるり
やっぱり にこにこ
僕も にこにこ
そっと元に戻す
つやのある皮
ひんやりした感触
軽く口づけをすると
すこし酸っぱい香り
皮は むかないよ
もう少し
このままでいよう
そうだ
日向ぼっこをしながら
お話をしよう
僕にしかわからない
みかんとの絆
柔らかい
多幸感で包まれる
閉鎖病棟