夏の記憶 三津山破依
一、花火
誰かと二人、顔を上げた。
拡がる淡い花びら。
首すじの虫刺され痕を
指の腹でそっと掻いた。
ネクタイを緩めて、
缶コーヒーに救いを求める。
最寄りの駅から歩くしかない。
黒い苦い水は、すぐに汗になる。
僕は彼女を見かけ、
彼女は僕を見ない。
白いうなじも見つからない。
右と左へ、歩いて帰る。
二、かき氷
太陽を削る。
時間をかけて。
なんてことはない。
ガリガリ、シャリシャリシャリ。
器を用意。
零れ落ちるほどこんもりと。
ふわふわ具合はゆずれない。
特製木製スプーンで
そうっと、すくう。
そのあとは簡単
口に放り込め。
熱っ。
流れるのは汗なのか。
瞼を閉じる。