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スレッドNo.7391

感想と評 6/26~6/29 ご投稿分 三浦志郎

1 上原有栖さん 「羽痕(はあと)」 6/26

これは一種のファンタジーだと思われますが、意外と現実的な書き方をされていて、しかも「天使」だと明記されてます。タイトルとの関連から背中がひとつのキーパーツにはなっています。ただ文中感じさせるのは人間の姿形のように思えてきます。ところで読み手は「天使だから人間の姿とはおのずと違うだろう」といった先入主があるわけです。すると、この文中から天使の全体像を読み手は想像しにくいのです。どうしても人間の姿がちらつくからです。すなわち、この詩は筆致的には問題ないにしても、映像として読み手に印象付ける設計にはなっていない気がします。タイトル通り、背中の羽の痕は良いと思います。それ以外が読み手はイメージしにくい、というか、どうイメージしていいか迷うといった感じでしょうか。以上がひとつの読み方なんです。ただし、もう一つ読み方はあって、この天使を(読み手が)あくまで人間と押し通して読んでしまうスタイルです。こちらは前記ファンタジーではなくリアル詩になりそうです。すなわち生身の女性を主人公がひたすら愛して、強烈に天使に喩えた、思い込もうとした、その愛のひたむき、といった解釈であります。ひとつの象徴として「羽痕(はあと)=heart、ハート」もありそうです。案外、こちらで読んだほうが、前者のような機能不全は起こさないはずです。ただ既述した前者のような完成時の曖昧さも尾を引いている気はします。
佳作一歩前で。


2 相野零次さん 「美味しく」 6/26

いわゆる“自虐ネタ”というものなのですが、僕はかえって好ましいと思います。皮肉やユーモアが他者に向かう場合、これは時に問題になります。相手を傷つけるケースもあります。自分で言ってる分にはカドが立たないからです。そして自分でもけっこう楽しいものです。悪くないですね。
ただしこういったものを書く場合、自尊心といった背景が健在だからこそ書けるというものでしょう。まあ、ちょっと不気味な部分もあるのですが、書き方として、自我や人間性の捉え方としては面白いと思います。まあ、ちょっと“おもしろ不気味”といったところ。しかし、こういったアプローチで自分を見つめ直すのもアリかと思います。「美味しく」という向上心も伺えますし。バリエーションの広がりとしても面白い趣向です。僕が頂く時は少し甘い味がいいですね。そこで甘め佳作を。


3 竹中ゆうすけさん 「貝とイルカ」 6/27 初めてのかたなので、今回は感想のみ書かせて頂きます。

よろしくお願い致します。
仲の良い貝とイルカを軸に、ファンタジーあるいは童話的要素を抽象詩的な衣で包んでいる。
そんな印象です。ストーリーは詳しくはわかりませんが、貝とイルカ両者、戯れ遊ぶ感覚でしょう。
解釈やストーリー展開よりも、無関係な言葉を駆使して、言葉のインパクト、イメージのインパクトで詩を繋いでいく。明らかに現代詩の洗礼を受けています。そういった趣向で全体で感じるのは、どこかのどかで、可愛らしく、明るく、好意的なものを感じ取れます。ちょっと不思議な浮遊感を持った作品です。さらに特記するならば、添付された絵です。まさに詩と絵の相似形。相互に雰囲気を作り合っています。不思議にして新感覚。また書いてみてください。


4 夏目兼緒さん 「夏の追憶達」 6/27 初めてのかたなので、今回は感想のみ書かせて頂きます。

よろしくお願い致します。
夏の想い出を描くに、大変、本道的なアプローチをされていると思います。
その中にあって、2連目「あなた」。文脈からして老農夫が想像されます。そして3連目「あなた達」となっています。前からの流れからして、やはり農夫と思われますが、複数形です。読み手の感想としては、これらの人々の事は知っておきたい気はしました。5連が少し場面を伝えてくれています。この雰囲気からすると、幼い頃の記憶と取れそうな気もしますね。全体を読むと胸がキュンとするような、切なさが充分伝わってきます。それだけに、前記の人々のことがよけい知りたくなるのですね。こういった雰囲気を書けそうな人。また書いてみてください。


5 月森うさこさん 「紅灯の巷」 6/27

酒を飲む場所もいろいろあって、僕が行くような大衆酒場からこの詩のようなところまで。
この詩で即座にイメージするのはー
渋谷、新宿、池袋。歓楽街。女性がドレス着て、お酒と話術のおもてなし。業界用語で言うと「高級酒場業界」とでも言うのでしょうか。俗に「夜の蝶」という言葉がありますが、ちょっと特殊で差別っぽくもなるので、ここでは使いませんが、作品中でも蝶に喩えられているのが興味深いです。お客と女性とのやりとり。やや手練手管のようなものも垣間見えます。「黒揚羽」がいかにもアクがありそうで、この雰囲気にぴったりです。今回はなかなか具体的なモチーフですが、それが纏う文体はやはり月森さん風といったところはあって耽美的な味わいはあるわけです。甘め佳作を。

アフターアワーズ。
引用されていた酒名ですが、全て超高級酒でした。辛うじて知っているのは「白州」ですが、
これさえも、水割り価格は他と格段に違います。あとは全く知りませんでした。


6 石川ぼうずさん 「ころり、と幸せ」 6/28

優しく、心和む詩をありがとうございます。僕はみかんの受け答えが大好きなんですね。
「―いつもこんな感じだよ ―ないよ ―いいよ」
みかんは気どることなくいつも通りのみかんでいます。だから答え方も至ってシンプルで普段通りです。そこに逆にみかんの魅力を感じるのです。ここでは、主人公のみかんへの感受性の優しさが際立ち詩を成り立たせているのがわかります。そういうフィーリングとはお互い伝わるもので、みかんにとっても心地よい時間であったはずです。素直で、単純といってもいい詩行ですが、不思議と温もりが伝わってくる作品です。ただし「閉鎖病棟」は最後に置かれたインパクトになります。語り掛ける主人公の哀しい環境と境遇です。タイトルにある「幸せ」に条件が付けられる、ということでしょう。評価の最初ですので、佳作二歩前からで願います。

アフターアワーズ。
評価に影響の出ないこちらのコーナーに書きます。最後の四文字は多少の賛否両論が出そうです。純粋かつ一般論的技術論です。
わかりやすくする為に極端にして色分けします。
A……この言葉を書かずとも、この詩は終われたはずだ。この言葉で詩のフィーリングの方向性が最後でズレている。
B……いや、これが作者の言いたかったことだろう。ひとつの背景だ。これがなければ、この詩はこの詩でないはずだ。
ところで、僕が最も感じるのは「作品とは最初から最後まで作者本位だ」ということです。
読み手の感想とはーどんな有名な作者であれー結果論として後からついてくるものです。
そして(作り手~読み手という)立場の違いは、ついに越えられないものだという、やや悲観的な立場を取ります。
そう考えると、(Aも考えますが)僕はB寄りになるわけです。作者尊重です。
ただ、判断の参考例として、ポジション「最初はどうか? 真ん中ではどうか?」などを、軽く提出しておきたいと思います。


評のおわりに。
早いもので、もう7月。今年も後半期です。
私事ですが、7月は自分の一番好きな月です。もともと数字の「7」が好き。
年の境目。雨と晴れの境目。暑いけど、夏こそ季節の高揚。「JULY」という女性名。
みなさん、7月をよろしく(笑)! では、また。

編集・削除(編集済: 2026年07月05日 06:29)

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