インヴォーカー 上原有栖
男には叶えたい願いがあった
寂れた十字路に現れるのは
悪魔と相場で決まっている
運命の結び目が
闇へと溶けていく時に
数え切れぬ願い人が
ここで大切なものを交換した
己の命を散らせば事足りると思ったが
相手は自己犠牲を認めないらしい
支払うのは大き過ぎる代償
(お主の苦しみが必要だ
(手放してから願いを言え
どうか許してほしい
冬の土の中はきっと凍えてしまうから
最後に暖かい毛布を掛けてあげる
春になったら土から緑芽吹いて
笑顔をまた見せておくれ
震える手を重ねた 祈りのかたち
呟く願いは呪いとなった
待つ者がいない家へ
男は重い足を引きずり帰っていく