ハナタレ小僧の夢口伝 竹中ゆうすけ
シワくちゃなテンション
おざなりになった おさない ははの おふる
きずあとに しみる しおからさは
ふゆの いんぼう
きせつは いま ゆきどまり です と
むらやま への てがみに したためました
〈窮屈〉の対義語が〈解放〉だと
諭した僧侶は
一昨日の真夜中
山姥《やまんば》にさらわれた
笠ヂゾウ………耳ヅカ………小ガネモチ………
ふわふわと
空《くう》に漂う想い出たちが
どうぞ
重たく湿りませんように
次々と落っこちてきませんように
今は亡き
若き僧侶に
上げるお経は
白く朽ちた村山の
真っ赤なシンボル
お金は要らない
:死んだときの喜びには 似付かないものだから
:死んだあとでは 鬱陶しく 煩わしいだけのものになるから
ハナタレ小僧が 口承する歴史の夢
朝のほのかな碧空へと
奏でられ 響き 溶けて 消えてゆく