夜明け 河辺いすみ
夜明けのうつくしい
五月のある日に
霞んだ地平のとおくで
まっすぐな汽笛が聞こえる
波間の向こうに揺らぐ
空と海との境から
金色の光芒が訪れる
朝焼け
ちらつく光を感知して
孤独な海は
鳥たちに今朝の号令を求めた
薄闇に冷えた風がかき混ぜて
地平線は水色に滲む
翼を離れた汐に吹かれて
目覚めとともに 遠ざかるものがある
波のあわいに
泡沫はきらめき
流木は割れる
浅瀬には潮がたどり着く
ここで日々眠り 起き
仰向けになり
海は開く
さみしく なおはればれと
光を噴きあげて
海は朝日を導き 風を引き連れて
古い坂を昇ってゆく
あるじのいない住居の
錆びた窓枠が揺れる
早朝はとどまることを知らない
壁を伝う蔦が揺れ
露を纏う屋根が震えた
光はなぞってゆく
ある日
駆けた子の足跡を
海のまなざしは
鏡の水面に溶けた
鳥のはばたきもまた 波に溶けた
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初めての投稿です。
よろしくお願いいたします。