感想と評 7/14~7/16ご投稿分。 滝本政博
感想と評 7/14~7/16ご投稿分。 滝本政博
●河辺いすみさん 「夜明け」
マイ・ディアへようこそ。
初めての方、初投稿ということで、感想を中心に書かせて頂きます。
端正で典雅な作品で、すでにそうとうに書ける方(と言うか、ハイレベルであり驚きました)だと思います。
刻々と変化する夜明けの状況が、研ぎ澄まされた言語感覚で的確かつ想像力豊かに表現されてゆきます。
どの連も良かったですが、特に
浅瀬には潮がたどり着く
ここで日々眠り 起き
仰向けになり
海は開く
さみしく なおはればれと
光を噴きあげて
光はなぞってゆく
ある日
駆けた子の足跡を
などに洗練、純化されたポエジーを感じました。
動的で常套的でない描写がいいです。
どの言葉を漢字して、どの言葉を仮名にするのかも考えられていて、成功していると思います。
一点だけ気になったのは
第一行目の
夜明けのうつくしい
という表現でした。他の選び抜かれている言葉の中で「うつくしい」は少し安易かな。うつくしさの基準は人それぞれですし。第一行とゆうこともあり目立ちます。
まあこれは、そういう捉え方もあると参考にしてください。
また書いてください。
●ゆづはさん 「微熱とルミネッセンス」
感覚的な表現で書かれていますが、意味や感情は読み取れるので、そこは美点だと思います。
なかなか凝った表現が多く、
時代の閉塞感をとらえる努力がうかがえます。いいと思います。
特に第一連が素敵でした。
濁った雨音に浸かり
瞬きを忘れた魚のように
深海の底で
熱を持った液晶をなぞっていた
タイトルがお洒落ですね。じつはルミネッセンスの意味が分からないで調べました。ルミネセンス(ルミネッセンス)とは、原子、分子、イオンまたは電子が外部からのエネルギーを吸収して励起、イオン化または加速された後、そのエネルギーの一部または全部を電磁放射として放出する過程または放出された放射のこと。また、各種放電ランプがこれに当たる。
とありましたが。実はまだよくわかりません。
ですが、このタイトルと、詩の内容を読むと、携帯を握りしめた孤独な魂たちが繋がって救われることを願ってやみません。
いま、この時代の、人間の孤独が扱われていて、生きていくことの切なさが表現されているようです。
●トキ・ケッコウさん 「放置された寿司桶」
面白い題材で自己の内面を描いています。
暮らしの中のささやかな印象、何気ない感慨を率直に書き付けた印象です。
だが非凡な「何げなさ」とでもいうか、大変親しみやすいのですが、独特の感受力だと思います。
ニヒリズムと言うか、けっこう複雑な胸の内を描くのに成功しているとおもいます。
すこし深読みすると、寿司桶はなにか厄介ごとの象徴のような気もするのです。
ただ前半の1,2,3,4連と後半の5,6,7連とではすこし内容のニュアンスが違って読めてしまうのでそこが気になりました。
導入部の1連は面白いですね。
なんとなく言葉にするかどうか、いやそもそも言わんとすることが何かすらわからないのでこういう言い方もなんだけれども。
詩としては、この部分は無くても成立するのですが、ひょうきんに外堀から埋めて行く感じがたまりません。
●aristotles200さん 「眺め」
佳作とします。
冒頭
<夜の匂いがする>
で、引き込まれます。夜の匂いとはどんな匂いなのか。
また、この言葉は後半に反復されて種明かし的な効果を生みます。
作品は五感に訴える表現にあふれています。
感覚表現の数々。
それは、視覚であり、聴覚であり、嗅覚であり、触覚であり……
読者はそれらを追体験しながら進んでゆくことになります。何処につれてゆかれるのでしよう。
上手く言えませんが、言葉でしか構築できない空間把握があり、眩暈のような効果を生んでいます。
目覚めているのか、目覚めていないのか、とにかく歩いています……。
生きるとは存在した多様な時空とコンタクトすることなのでしょうか。
詩の究極のシチュエーションとは生と死の交わる領域なのでしょうか。
幻想であれ、比喩であれ、象徴であれ、作者は日常の背後にある世界へ読者をつれてゆくのでした。
方向性はとてもよいと感じます。
方法的な果敢さや、表現技術のさらなる深まりを期待いたします。
●月乃にこさん 「いいな」
2連11行のとても可愛らしい詩ですね
1連目はまるでマイ・ディアのキャッチフレーズのようです。
ありがとうございます。
いいな
お気に入りの場所があって
詩が好きな人が集まって
自由な空気と時間が
流れてる
いいな
2連目は
少し反省が入るのかな
だけど
隠れながらみてばかりだから
いいな
しか言えないのよ
月乃にこさんで検索してこれまでの作品も読んでみました。
とてもいい感じです。
また書いてください。