点描 上原有栖
じーわ じーわ じーわ
求愛の不協和音が頭上から降り注ぎます
この中で一番男らしいのは俺だと
雄の油蝉は暑苦しく喚くのです
俯いた顔 毛先から汗が垂れていきます
夏が暑いのは誰かのせいじゃないけれど
お天道様に悪態を吐いてしまう
人情とは嗚呼悲しい性(さが)でございます
揺らぐ陽炎を見ていたら
アイス・キャンディが
とろりと滴になって落ちました
砂糖水のオアシスに蟻たちが寄ってきます
蠢めく黒点が
ひとつふたつみっつによぉ
背筋がぞくり 少しばかりこそばゆい哉
小さき命は暑さに負けずに
私も同じく暑さに負けぬと
背伸びして立ち上がるのでした