評、7/17~7/20、ご投稿分。 島 秀生
お待たせしました。
●Mayさん「フレア」
Mayさん、お久しぶりです。お帰りなさい。
過去にいい作品もあったMayさんですから、ゆっくりと、ぼちぼちと、マイペースでかまいませんので、また調子を上げていって下さい。
作品ですが、詩の中のパーツとしてはおもしろいと思うんです。なので、これ全体を包括する日常ストーリーみたいなものがあるといいですね。特に前半に。
言うならば、起承転結の、転と結だけある感じなんですよ。
こういう書き方の場合、いくつか書き溜めてから、任意の2つの詩を選んでいって、思わぬスパークが出るような、2つの詩の組み合わせで、仕上げてみるといいですよ。
この書き方って、基本的に「合成」の書き方なので、いろいろくっつけてみると、カタチになってきます。
久々なので、今回は感想のみとさせて頂きます。
●小林大鬼さん「旗〜村野四郎に捧ぐ」
うむ、しっかり書けてます。きちんと書けてます。
もっと早く、こういうふうに書いて欲しかったですね。
多磨霊園で、よくお墓を見つけましたね。
2連目で、村野四郎の詩との出会い、過去を振り返るとこもいいです。
とりわけは「旗」に喩えた終連が凄く良くて、
ここはお墓なんですが、死してなお、魂の旗が靡いていると感じるのは、村野四郎の思いと作者の思いがシンクロして見えた心象風景に他なりません。
また、「静かに」の言葉もいいですね。
静かに、されど力強く、脈動は続いている。そう言ってるように聴こえる。
うん、これはこれで完成な気がする。
ただ、ちょっと作品スケール面で小品ではあるので、秀作プラスを。
●相野零次さん「美味しく」
あのーー
初連の「捧げたいモノ」の、「モノ」に当たるものが、その後の連のどこにも見つからず、行方不明です。
「モノ」と投げておきながら、後ろでこれに対応するもの・カタチを作っていない。そのせいで、初連が宙に浮いています。脈絡が取れない。
この詩、2連からスタートでいいと思うんです。2連以降はよくまとまっています。まるで白昼夢のような、印象的な場面を描いてくれてるし、その後の作者の在り方、姿勢のようなものも、書いてくれています。
2連以降でまとまってるんで、初連削除案を提案しておきます。
(ちなみに、初連の、
君だけにしか受け取って
ほしくないんだ
は、気持ちはわかるけど、ちょっと日本語ヘンです。
通常は、
君だけに受け取ってほしいんだ
君以外の人には受け取って
ほしくないんだ
の、どっちかじゃないかな??と思います。)
渋谷のスクランブル交差点は、あれは名物ですね。
あそこまで人通りの多いスクランブル交差点は、日本国中どこを探してもありませんから、ありゃ、もはや名物ですね。観光名所に入れてもいいくらい。
あの中に、不思議な存在が紛れていても、皆、気がつかないで通り過ぎるんだろうと思える。でも、作者だけはそれを感じたのでしょうね。
6連ですが、渦をまく水流の例として書かれてるのでしょうが、「便所を流したときのように」は、やめましょう。せっかく幻想的にそこまで持って来たものが潰される気がする。次の「風呂桶」の例もイマイチです。
渦の例をしつこく探そうとするんですけど、渦の例は5連のアパートの話で終了にしてしまって、瞳に届いたその後に、どんなふうに自分の奥の奥まで切り込んできたか、その届いたあとの切り込み度合い、震撼させられ具合の話を、6連でしたほうがいいと思えます。
あと、終連はとてもキレイですね。
彼女を幻想的に描いた部分はとてもいい、全体像はステキな話で、そこは間違いないので、細部だけ、もうちょっと詰めてみて下さい。
タイトルの「美味しく」も、私ちょっと意味わからんかったです。
現状、おまけ名作くらいで。
●上原有栖さん「火の鳥」
こういうエンディングになるとは思いませんでしたねえー
エンディング、すごくステキでした。
ロマンチックですらありました。
場面としては、
全てを喪った夜があった
世界から色が抜け落ちていった
とあるように、一番大切な人を亡くしたか、の場面で進行します。
あてもなく永遠に歩き続けてしまいそうな気持ちのところも、そうした場面にマッチするものでした。
ずっとモノクロのまま、移動する風景を丹念に描いていくところもいいですね。
火の鳥だけは色彩がつくかと思いきや、火の鳥も引き続き、モノクロのまま登場というのも、却って大胆に思いました。
主人公にとって、火の鳥は、救いの神であったようです。忘れていたものを思い出させてもらったことで、主人公はまるで成仏するかのように、消えていきます。火の鳥の一部に取り込まれたのやもしれません。
具体的なことは何も書かれていませんが、一番大切な人を失ったとき、こんな心情だったなと、思い起こすものがある。読者もきっとそうじゃないだろうか。
具体的なものはなくとも、そうした時の「核」となる部分をきちんと書き、その上でロマンチックな創作で終わらせてくれていると思う。終連は特に心に残る。
名作&代表作入りを。
修正点は特にありません。強いていえば、3連がちょい走ってるので、そこ丁寧にやって、詩の規模をもう少し大きくしてもいいかなと思う。それくらい。
●三津山破依さん「時をかける」
「※」の使い方はおもしろいね。
たぶん「※止める」は、時を止めるで、{※戻す}は、時を戻すかな??と、私なりに解釈して読ませて頂きました。
前半ですが、今はテレビ見る人も減ってると聞くが、「画面」と書かれると、いちおうテレビのセンもあるので、やっぱりここは「スマホ画面」と書いてほしいかな。前後に補足する言葉があると、「画面」だけでもいいんだろうけど、ここはこの一語で判断しなきゃいけない場面なので、二択を作らない方がいいと思います。
前半って、ちょっと解釈がいって、「俺は月曜日を考える」がビミョーでしてね。
週末休みに入った時に月曜日を思うというのは、週明けにちょっと厄介な仕事があった時などに、ちらちら気になるという意味で、一般的な意味でもままあることなので。
でも、そう受け取ってしまうと、全体の脈絡が合わないので、これたぶん、月曜に再会するってことなんでしょうね。
ああ、となると、そこ、「俺は月曜日のことを考える」とした方がいいでしょうね。
で、その行をそれに改めると、伏線を張れるんで、さっきのとこは「画面」だけでもいいと思います。
後半は、学生時代の思い出なのでしょう。時が巻き戻っています。学生時代はこんな感じの関係だったんでしょうね。なんとなく片思い感があって、そこがまた青春らしい酸っぱさで、いいですね。
二人の様子が交錯しながら登場する、後半の表現の仕方って、わりとおもしろいなと思いました。
言い方悪くてゴメンナサイですけど、内容的には、そんな特別なこと書いてないので、フツウの書き方をしてノーマルに終わるより、この挑戦的な書き方をすることで、内容が生きたって面があります。なので、後半はこれで、私はいいと思います。
うむ、いいでしょう。秀作を。
(で、月曜日はうまくいったんだろうか。気になってきたあ……。)
*************
・評のおわりに
昨日の宇城市の火事の映像、
消防士がホースを持ったまま、へたりこんでる姿が映ってて、「あっ!」と思いました。
断水だからホースから水が出なくて、為す術なく、火事を見てたんですね。
無念だったと思う。
私は阪神淡路大震災を思い出しました。
あの時も無念の思いをした消防士が何十人、何百人といたことでしょう。
消防車が百台レベルで集まってきたけど、誰も火が消せないんだもの。
地震の時、火事を出しては絶対ダメです。
断水で、誰も火を消せないから。
断水の解消には、まだだいぶ日数がかかるので
被災エリアの方は、いま火事を出さないよう、くれぐれもご注意下さい。
特に、人がいないあいだに電気が回復すると、通電時に火花が出てるケースもあるので、
まだ電気が通じてないエリアは、いったんブレーカーを落としておいて下さい。