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スレッドNo.7530

感想と評 7/24~7/27 ご投稿分 三浦志郎

1 Mayさん 「風立ちぬ」 7/24

このタイトル自体が大変美しい日本語です。その採用を共に喜びたいと思います。
これは明らかに真夏の風物詩的なにわか雨です。さらにはプール帰りの子供たち、これも真夏、あるいは夏休みの定番的情景。これでキマリですね!全体を見渡すと、この詩は「雨・汗・水分」に覆われた詩なのですが、そんな中に、たった1行のみ、「立ち上がる風が乾かしていく」が、爽やかな矢のように入ってくる。ここですよ!乾かすですよ!この詩の本領はー。 続く「夏休みの匂い」もGood。短さもこの詩のキャラには似合いそう。今日も日本のあらゆる何処かで、行われている風景を伝えてくれたのです。佳作を。


2 トキ・ケッコウさん 「詩とは何か」 7/24

結論から書きます。僕はこの詩を支持することができます。理由は以下の如くです。「詩という対象について、健全なプライベート、健全なエゴイズムで書かれている」と思うからです。(注……エゴイズムは悪い意味では使いません。誰しも持っている“自己のありよう”とご理解ください)。前半部分の書きぶりも、なかなか唸らせるものがあります。特筆すべきは―。
「ともあれ詩とは何か/詩とは死か/いや死にゆくだけが生ではない/ならば/
この先に何が誰が待っているというのか」
僕が最も共鳴した部分を抜き書きしてみました。人は生を受けた以上、無為に死んではならない。よろしく何かを収獲して死ぬべきでしょう。それは仕事でも家族でもスポーツでも絵画でも音楽でも文学でも良いわけです。トキさんの場合、それが詩であると充分に推測されるのです。ここで、ちょっと面白いことを書いておきます。「何もしないで構わないとも思う」とありました。僕はこれをあまり否定しません。書かれた以上、これもひとつの見識と理解します。「心を虚しゅうして、詩の降りて来るのを待つ」――時に有効な方策にもなり得るでしょう。まあ、でもこれは「搦め手」でしょうね。作品は正統的に着地しています。これでいいはずです。佳作です。


3 上原有栖さん 「点描」 7/24

「気が利いている」という意味で、これはちょっと面白い書き方です。ひとつのアイデアと言っていいでしょう。どの連も準備なしにいきなり書き始めている。冒頭からして典型です。各連の主人公はどれも比較的、後半にわかる。同時に、どんな事態かがありありとわかる仕組みでもあります。
冒頭書いた感想の所以です。登場人物(?)は順に、油蝉・人間(私)・蟻ですが、こんなに暑くても、小生きものは懸命に、あるいは喜々として生きているのに、人間はなんと不平家であることでしょう!主人公も同感だったのか、気を取り直して起ち上がるのです。歩き続けるのです。これ、場所とか背景が書かれていませんが、無くてもいいような気がします。書くと、かえって興ざめかもしれない。タイトルもこの詩のアプローチに従って、一風、変わっています。「です、ます」調もよかったです。今までの書き方をちょっと変えてきた。そこも見ておきたい一作です。佳作です。


4 ゆづはさん 「エッセンス」 7/24

読み手というのは素直なもので、冒頭こう書かれると(はて?これは何だろう?)と思うのが人情というものでございます。それを想像しながら読むことが、この詩を味わう方法かとも思うのです。
まず現象から入り、それを受け入れる自分の気持ち、その表現としての手指のしぐさ。時に舌の上でも迎え入れられる。 書きぶりを見ると、けっして多くはないが、ひとつひとつが綺麗に落ちて行った、それは涙でしょうか。そんな抒情でしょうか。冒頭の「二ヵ月ぶり」と最後の「日々」は何か関係があるのかもしれない。それはともかく、女性らしいナイーブさといつも通りの儚げな詩行が作品を形づくっています。常にこういった雰囲気の詩が書けるというのは、テクニック云々ではなくて、人格的奥深くから湧き出ているように思えてなりません。佳作を、この調子でー。


5 三津山破依さん 「風に舞う」 7/24

「△上がる」―この書き方、いいですね。たったこれだけでも詩の気分がだいぶ違ってきます。
読みたくなってきます。うまいもんですね
さて、ビルに付き物のエレベーター。マンションにも勿論同様です。こちらには多少の生活感があるでしょう。その生活感を幻想として視覚化したのがこの作品。「紙ヒコーキ・シャツのボタン・猫・広告ビラ」互いに無関係ながら、そこにある無機質性のようなものが詩のキャラに相応しい気がします。特に秀逸なのは「▽下がる」の二連目。ところで、評者はマンションに住んだことがないので、イメージだけで書いて怒られるかもしれませんが、「人とあまり会わない、住んでるのか、いないのか」など、希薄な人間関係が浮かんだりするのですが、ここの連はそんなイメージもあって、少しシュール感、少し不気味感が味わえそうです。この詩を代表する連になりそうです。
ちょっと例を見ない“エレベーター幻想”。”あなたの隣にある現代幻想“そんな言葉が似あいそうです。このレアに佳作を。


6 飯干猟作さん 「天使篇 絵を描く」 7/25 初めてのかたなので、今回は感想のみとなります。

よろしくお願い致します。場面がユニークで面白いです。天使をモデルとして、その姿を絵に閉じ込めようとする、その悪戦苦闘ぶりがアニメ的でユーモアを感じます。おそらく、この「僕」は凄く純真な気がする。そんな言動がどこか可愛らしささえ感じさせるのです。天使の造形もいいですね。
時折入れて来る“合いの手”も適宜にして絶妙です。どこかアッケラカンとしたキャラもこの詩のムード作りに一役かってますね。思うように書けず時間だけが過ぎてゆく「僕」と、モデルとしてなかなかじっとしてられないオチャメな天使。そのあたりの駆け引きも読み所。読み手も天使がどんな顔、姿なのか想像する楽しみもあります。 また書いてみてください。


7 相野零次さん 「空」 7/25

「星空の値段」。何かそんな詩的なタイトルでも浮かんで来そうな冒頭連です。「ペルシャ絨毯」の比喩が興味を惹きます。ここは詩行配列上、やや重いので、好みに応じて二分割でもいいでしょう。ある日の夕焼けが子供の頃の思い出に繋がってゆく。
時にずぶ濡れで歩く。人は少なからず誰しも経験することでしょう。そして、抜けるような晴天をさまざまな形で味わう。
これからも空は相野さんにさまざまな形でアプローチするでしょう。
夜、夕、雨、晴。 空が持つそれぞれのスタイルを書き留め、それを「秘密」と名付けています。
この言葉は「魅力」と取ってもいいです。最後「隠している」とあるので、これからも相野さんは、
それを探しに行くのでしょう。甘め佳作を。


8 石川ぼうずさん 「そこにある壁」 7/27

割とありがちなモチーフなんですが、ひとつの習作として、あっていい詩でしょう。
自身の経験も踏まえて書くと、これは子供と大人の間にある壁を想像すると近い気がします。
心も身体も変わっていく、特に思春期にイメージしやすい課題のように思います。ただし、ここで少し気になるのは、「壁のこちら側に来ることを拒む、あるいは攻撃的な言動がある」点です。
そうなると、別の何かも考慮に入れないといけないか?それとも、これらの反発は「君の心構えや努力しだいさ!」の謂いかもしれません。ただし、本人は「行きたくない」と言っている。このあたりの解釈の難しさがありそうです。佳作一歩前で。


評のおわりに。

令和8年熊本地震で亡くなられたかた、身を謹んでお悔やみ申し上げます。
被災されたかた、心を込めてお見舞い申し上げます。
それ以外、あまり言葉を持てません。いえ、ひとつありました。
「お城のある街 なぜ、またしても、熊本!?」  では、また。

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