忘却 相野零次
魂だけのスピードに乗るとき
僕は身体のいろんな部品を忘れていった
手足を忘れて僕は歩くことも走ることもできない
胸を忘れて心臓の鼓動が聴こえない
腹を忘れて美味しいパンも食べれない
頭を忘れて足し算や引き算もできない
僕はどうやって産まれればいいのだろう
その時 目の前で消えていく命があった
僕はその人の身体を拝借することになった
頭をもらうとき微かに微笑んでくれた
僕は生き返ったらお礼をするために
その人を探すだろう
忘れっぽい僕だけど
その人のことはちゃんと覚えていますように……