MENU
944,211

スレッドNo.754

赤い花 暗沢

 アカバナ アキバナ 
 ショウジョウバナ

赤い花二輪 街路樹の傍に
控えてた
陳腐なイメージこそが恐ろしい
地獄とか 

 シニンノハナ シンダモンバナ
 ジゴクノハナ カエンバナ

この赤裸々なまで鮮やかな赤は
内側へと収斂する鮮やかな赤は
毒婦の爪か 艶紅か

 キツネノユリ ヘビノトウ
 シビレノハナ ドクシュバナ

微細極まる一条ごとは
扼する指の如くであり
朝靄の帳を介しつ誘う
此岸より 彼岸へと

 アキノハナ アメフラシ
 ユウダチグサ ケムリグサ

点々と靄に灯り連なる
赤のイメージは手招く
向こう側から 嫣然と
彼岸より

 メクサレバナ ムシトリバナ
 オヤシネコシネ オヤコロシ

あまねきとこしえなる赤を摘め
忘れ草へと帰すことのない
それら曼珠沙へと手を伸ばせ
犀利たる赤へと愛撫せよ

花の赤は肉を切り 裂けた肉は血を滴らす
爛壊せよ
腐した肉よ 余すところのなきよう
花へと託せ
赤へ

舌先を撫でるは 赤い花
花の赤はつめたく 苦い


 曼珠沙華 抱くほどとれど 母恋し(※)


引き留めたのは、古い一句
いつの日にか、目に留めた。
もう母は身罷ってしまっているのだが。

そうだ!身罷っていたのだ。私の場合は
次はもう無いかもしれない。

 ホトケバナ(※2)

※(中村汀女『汀女句集』より ※2他、詩中のカタカナ表記の名詞は「イメージ」除き、全てこの句中の季語である花の別称となります。)

編集・削除(未編集)

ロケットBBS

Page Top