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スレッドNo.7540

2026年7月21日から7月23日までのご投稿分です   夏生

2026年7月21日から7月23日までのご投稿分の評と感想です。
大変お待たせいたしました。

「始まる」 aristotles200さん

aristotles200さん、今回もご投稿くださりありがとうございます!
僭越ながら御作「始まる」の評を送らせていただきます。

駅のサインボード、通勤客、スマホなど日常にあるものや風景から
入ります。主人公が通勤風景が描かれた広告に意識を向けた途端、
よくある風景が異世界のような不気味な場所に変貌する。
広告には主人公に似た人物がいた。その視線や表情を捉えていくほど
引き込まれていくのがわかります。

<天井にしがみついている
自分がいる

ここからホラー映画のような恐怖が湧いてきます。

<目線に気づいたのか
じっと、こちらを見てくる

<青白い肌
目は表情を消したまま
笑みを浮かべていた
自分だ

<直感で理解する
本体は
向こうだ

ここ、面白いですね。どういうことか、どうなっているのか
説明なしで加速することでこの詩の世界観が強烈なものになります。

<サインボードの中で
悲鳴をあげる
悲鳴をあげ続けている
絶叫している

不思議なのは「なぜ悲鳴をあげて、絶叫しているのか」と
いう疑問が湧かなかったこと。
読み手によってその理由が違う。会社に向かう人の
心の限界や闇がにじみ出ているように思いました。
それでも前へ進まなければいけない。
心があるほど疲弊し、消耗するなら心を消して、黙って
身体を動かす。
無表情な通勤客が亡霊のように見える怖さ。
現代の危うさを切り取ったような作品でした。
御作佳作とさせていただきます。


「夏空」 Love沢さん

 Love沢さん、はじめまして!
ご投稿くださりありがとうございます。
初めての方は感想のみとさせていただきます。ご了承くださいませ。
御作「夏空」の感想を送らせていただきます。

漢字表記がひらがな表記になっていく。これは主人公の心の流れのようで
飛行機雲を眺めてからしばらく空を、雲を見て太陽を感じている。
視線を下げて、空に影響を受けた電線やコンクリートの橋を見る。

子どもたちの声が聞こえるとそこまで視線を下げていく。
雲が子どもたちが元気にはしゃいでいる様子を楽しんで見ている
そんなイメージが主人公の心を明るくしています。

暑さ厳しい時期ですがこの詩は楽しかった夏を思い出させてくれました。
またのご投稿をお待ちしています。


「名前のない詩(うた)」 人と庸さん

人と庸さん、今回もご投稿くださりありがとうございます!
僭越ながら御作「名前のない詩(うた)」の評を送らせていただきます。

<もしも名前がなかったら?

ここ、面白いですね。読み手もふと考えます。名前がなかったから
どうなるのか。

<(日々に湧き立つ想いにも名前がなければ)
(詩(うた)は生まれ得ないのか)
その答えが次の連からテンポよく展開されます。

<この国には
名前のない場所もある
名前がなくてもそこへ行ける
あなたとわたしに名前がなくても
会えばたがいに
向かい合う

<詩人という名前が
あってもなくても
人は名前のない想いも詩(うた)に詠む


名前は人間の都合や理想などで作られたもの。
あって当たり前と思っていました。実は名もないものの方が
多い。名前がなくても成立することはある。
読み手はかたい概念をひとつ吹き飛ばされます。
誰か、という仮定を使い、ひとつの詩(うた)に
ズレや揺らぎを感じる。固定されない分、心は自由に反応する。

<暗がりにいる言葉の種子が
パキリと小さな音を立てる

ここも秀逸な表現です。

主人公は名前のない場所にいます。
草も木にも名前があり、電柱にも名前がある。
もちろん、自分にも名前があります。

<確かな数字をふられていないというだけで
揺らいでいるのは
この地だろうか わたしだろうか

前半から中盤までは
名前がなくても、と勢いよく進んでいましたが
終盤に入ると、主人公は揺らいでしまいます。
この揺らぎは解消されないまま終わります。
当たり前だと狭くなった視野を広げてみる。
それでも名前がない場所というある種の未開の地に
立つと勢いが止まって揺らぐ。
読み手も一緒に立ち止まり、揺らぎました。
はっきりしないからこそ、考え続けることができる
一篇でした。
御作佳作とさせていただきます。

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