菜食放免 竹中ゆうすけ 評不要
一度
歩み始めたら
決して
振り返ってはならない
たとえ
不作為の批判に取り囲まれても
盛夏の声を遮ることに努めながら
永遠に特別であれ
+
乾燥させた大豆をフライパンで煎る暮れに
夕陽が 薄味の憂いを伴い 横切ってゆく
高蛋白なレンズ豆は
玉葱やニンジンと一緒に煮込めば 旨味が出る
優しい甘みを特徴とする緑豆は
お米と一緒に炊くと 朝の体にあつらえ向き
大きめの紅花隠元は
若い莢と一緒に軽く塩茹ですれば
オリーブオイルが最高の相方になる
ひよこ豆を
トマトと一緒にスパイシーに煮込んだら
ナンとの相性は抜群
魅力はホクホクとした食感だ
−
でも
豆は豆
一つひとつ 固有の種に分類できても
(どれだけ 香ばしく 調理できても)
やがては
総じて
豆でしかなくなる………端から そう であったように
×
未だ 呼び起こされない〈記憶〉を持つ 者たち
カラフルに 翔び跳ねる 高邁な悲壮が ぼんやりと………
忘れかけた祈りに どうか 火を 点け給え!
÷
カラカラになって 先っぽがささくれた葉葱が
倒錯した大衆の気休めに 抱《だ》かれて揺らぐ頃
安らかに差し込んでくる熱線が
窓の辺《ほとり》で艶やかに 踊り始めた仕舞い口《ぐち》
国際社会の歪《ひず》んだ条理
未調整の塩加減
情を拗らせた青物
無気力な喧嘩
どれもが
芽生えたばかりの
眩く輝く
灰汁
だった
今や
湿った天上の
父の袖を通り
ダビデの
城壁から
愛の
血潮として
清まり
噴
き
出
し
て
い
る