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スレッドNo.7566

永遠の時間  小林大鬼

帰宅したあなたは
私に軽く挨拶した後
駆け寄る子供達を
言葉少なに諭し

食卓では皆で祈りを捧げ
あなたは食事を分かち合う

さん付けで妻から
呼ばれていたあなたは
潔癖で頑固で実直で
あなたの言うことには
家の誰もが従った

あなたは子供達に
言われるままに鬼になり
豆まきして遊んだ後

夜遅い時間になり
あなたは鹿島神宮駅まで
車で私を送ってくれた

クラシックピアノの曲が
静かに流れる車内で
昔の自分も似たような音楽を
聴いていたこともあなたに語った

純粋なクリスチャンで
英語教師の八木重吉のことも
あなたは前から知っていた

生前誰一人として
詩人と知られることなく
儚く短い人生を終えた
殉教者の後を追うかのように

あなたの訃報を人づてに聞いて
奥さんとの連絡が急に途絶えた理由も知った

神と聖書を愛した八木重吉は
早く天に召されたいと望んでいたが
家族を残して逝くあなたは
何を思って旅立つのだろう…

夜の洗面台で子供達と
歯磨きする合間に
あなたが飲んでいた粉薬も
今では妙に気にかかる

最初で最後の他愛ない会話
あなたの断片が私に降る

明るく静かな節分の夜
眩い月が夜空を照らす…

優しく微笑む天使のように
物静かにあなたは
いつも家族を見守っていた

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