晴れた空が苦しいときは 人と庸
晴れた空が苦しいときは
イメージする
未来から日々が 波のように引いてゆく
すべて引いたあとに残るのが今日の自分
満たすのではなく引き算することで
ほんとうはしなくてもいいことがあるとわかる
西が淡く輝くとき
ひとは向かう
今日の終わりへと 今日を背負いながら
日々を引くどころか積み重ねていくしかない
引き算よりも自身の長い影を引く姿が
この時間にはよく似合う
夏が地面を灼くとき
虫たちは叫ぶ
木々の上から滝のように
叫びの先には無数の死が横たわる
かれらはそこへ向かうのでも引かれるのでもない
痛いほどの能動的な生が すぐ真下の未来に降りそそぐ
種が滅びるとき
そのものたちは語らない
大地に横たわるその際(きわ)にも
自分が何ものであるかを知るものはない
引くことで次の種に繁栄と痛みを
それと知らずにつなぎゆく
思考も感情も
電車に運ばれるように身を任せれば
どこに行き着くのだろう
自分や他者の「ほんとうのこと」が
切り取られた断面として景色とともに流れゆく
そしてその断面にも人は
窓をつくるのだ