雨の日の記憶
アージ バーリッシュカディンヘー
こんな大雨の夜だった
店主は滝のように
激しく流れ落ちる
土砂降りの雨を眺めていた
私はその背中を見つめていた
安っぽいナンとカレーが空になる
アージ バーリッシュカディンヘー
私は彼が口にした
遠い祖国の見知らぬ
その言葉の意味を聞いた
夕立の雨音が響く中で
彼は優しく私に教えてくれた
ダンニャバード
グラスのチャイが氷に消える
アージ バーリッシュカディンヘー
お父さんは昨年亡くなったと
彼の奥さんから聞いた
あの西台の店は移転して
志村三丁目に移り
一軒家の小さな店で
彼女一人が切り盛りしていた
ナマステ〜
懐かしくあの時を思うと
私の目頭がまた熱くなる
アージ バーリッシュカディンヘー
もう二十年以上前の
居抜きの古い居酒屋のような
夫婦が営むインドカレー屋での
ある夏の夜の出来事である