よく見る幽霊 上原有栖
よく見る幽霊
「それ」が現世の人々ならざると
気がついたのはいつの頃だろうか
歩道橋から走り抜ける車を見下ろしている
ベランダに寄りかかって星空を眺めている
電柱の隣でやって来ない誰かを待っている
神社の石段に座りシャボン玉を吹いている
公園で子供達に混じって駆けっこしている
よく見る幽霊
波長が合ったのか
見えないだけでもっといるのかもしれない
春の花見さくらの木の下で酔っ払っている
夏の学校25mプールでずっと泳いでいる
秋の夕暮伸びた影がひとりだけ消えている
冬の満月高く照らす光に身体が透けている
彼岸と此岸の糸が小指に結ばれたとき
ほんにたまたま
気がつく人が現れるらしい
向こうの人は
もう戻れないのが分かっているから
気づいてない振りをしているだけ
よく見る幽霊
そこにも ここにも あそこにも
いつの日か扉をくぐったならば
わたしもあなたも
あちらの住人