MENU
2,383,878

スレッドNo.7621

誰かのいない夏  三津山破依

一、朝顔

過ごせるくらいの優しい陽射し。
いつも、早起きする。
太陽は寝ぼけ眼で、そろそろ起きる。
朝顔が、赤、青、紫に小さく揺れる。

 おはようございます

つるが棒にくるくると図々しくも伸び、
水を求めて口をあける。

まだ眠い。でも、会いに行く。
車に乗り、音楽を流す。
ドラムがどこどこ響く。
ギターがテケテケ遊ぶ。


二、夕顔

車を停めた。
助手席には仔猫。
エフエムラヂオからは
知らないフォークソングが聴こえる。
あ、こんな時に。

このあと、どうしようか。
手を握ろうと、左手を伸ばしても
肉球には触らせてもくれない。

にゃお、とそっぽを向く。
いつも、そうだ。ボクは顔を見る。
そのまま知らぬふりして、
ラヂオのチャンネルを変える。
野球中継のアナウンサーは
逆転ホームランをさけぶ。

 サヨナラ

君が野球を好きだなんて知らなかった。
茶色の長い髪が助手席に残る。
窓の外
暗い中、白い花が浮かぶ。


三、昼顔

火照りきったボンネットの上で
目玉焼きでも焼こうかと、
ポケットをまさぐる。
夏も終わろうとしているのに。
どうやら忘れたようだ。

ガソリンを燃やして車内を冷やす。
ペットボトルのお茶は
半分くらいでぬるくなる。
滴る汗を止めようと、空を見上げる。

 ひこうき雲を見つけた

流れる風を追いかけて、
道端に咲く花を見る。
薄ピンクに開く。
車内はまだまだ暑い。
スマートフォンから音楽を流した。
なぜか、知った曲ばかり。

編集・削除(未編集)

ロケットBBS

Page Top