道へ 河辺いすみ
気づけば汽車を乗り継いで
虚構の果ての虚構まで
ある昼 凹凸のあるチケットを発券し
ある夜 みずから穴を覗いてみた
どれもこれも それといった事実でないので
視界に魚の浮かぶばかり
枯れた水路を越える橋梁の手すりの上に
空は黒く揺らいでいる
しかし燃えていない ここに火はないのだから
けれどもらくだとフラミンゴの寝そべる
錆びた線路沿いを歩き続ける
砂漠でもないのに
乾いて角ばった岩の上に
古びたラジオがあり
掠れた讃美歌が聞こえる
そうして鳥が訪ねては折れてゆく
時空を跨ぐペンギンなども
休みなく 虚構を踏みにじり
歩むほど積まれてゆくと
わかっている
無垢な鳥類と魚類の遺骸ばかり
地平の先に望むあれは
何者かが組み上げた
風雨に削れた遺骨の建築
いつの人かも 人かもわからぬけれど
きっとあまりに静かな世界を
創ろうと望む誰かがいたろう
もはや蒸気機関車も通らぬだろうし
帽子を被った記者もやってこない
ある居室から延びた道の果て