キツネの火遊び 竹中ゆうすけ
深い茂みのなかで 朝を迎え
雲間から注がれる陽気を浴びれば
危うい青信号
小刻みに震える膝を
寸刻 惜しんで 抱えたら
ただちに
酷く 心地悪い
役務の支度を開始せよ!
時の操る風を遮ったのは
ボタンダウン
──── 通し忘れて雑踏で憂う
湖上の小舟では
浮遊の静寂が 悠長に 語られている
天から降《くだ》った薄黄のベールの向こうで
古傷のような遣る瀬なさが律動し出して
次第に激しくなる
* * *
キツネの頭上で煌めくのは
精霊が落とした黄金《こがね》の被り物
超然とした喧騒にあっても
瞭然として表される福音の奥義に
およそ二千年前
戦慄した!
(が
つい70年ほど前まで
断続的に 見失っていた)
「秘密があるなら 今ここで 明かしてちょうだい」
野蛮なキツネは どことなく 不安げな顔付きで 詰め寄る
所業は見知る必要のなかったことかも知れない
けれども
残忍さ,残虐さの極みとして
世界のどこかで
善美な生を
絶えず
阻みつづけている
* * *
添加物もりもり の悪魔の旨さ!
求めて止まないキツネによって
教義は破綻に至っても
なお長らえる
ギャングエージと組織的犯罪との相関関係は
不運にも
筆舌を絶するほどに密らしい
「世の中そんなに甘くないよ」に反論する試みは
出現を厭う、パンチの効いた言葉に
決まって
敗られる
殺し合いのない世界
→ → → 実現できると信じていた幼い頃
傷付け合わない世界
→ → → 実現できると信じている拙い瞳
* * *
ナチュラルに寄り添う歌が流行るとき
キツネは不可思議な感情に悩まされる
できないことを100コ数えるあいだに
強烈な幸運を受け取るパワーを
90%以上失った
画面の向こうにある現実は変えられない
という比類を見ない無力感から
却って 肥大した傲慢さが
不真面目かつ不誠実で 悪戯なコメントを無数に招ぶ
* * *
日常にある豊かさと便利さとの享受
それと引き換えに
何をどれだけ犠牲にしているのか
しかし
引き返して畏れるほどの余裕はなく
いつも 思考停止を余儀なくさせられる
繰り返し口を衝くキツネのおべっかが
無情にも
低刺激の好奇心をそそる
* * *
最も劣等な分際が
社会を変えられると思い上がる
しかしながら
変えられるのは
神
お一方のみ
(だと信じることが
全頭に等しく許された)
まったく新しい世界を
創造されようとし
そして
今日までに
此処に
成し遂げられた
神
被創造物としての自覚を持たないキツネは 曝しつづける、
屠られまいと 躍起になる 醜態を
──── 間接的に且つ直接的に