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スレッドNo.7650

うるてぃま  上原有栖

どこのだれが話していたか
ここではない世界の昔話

四方を巨大な神様たちが支えていた世界
長い足で地面をふみしめ
逞しい腕で天をおしあげた
どんな顔をしてらっしゃるのか
みしるしは雲よりはるか上に在って
だれも見たことは無いのだった

やがて永い冬がやって来た
世界は前よりもだいぶ白くなり
特に北方は氷に覆われてしまった
司る神様は寒さに震えていた
踏ん張る足もとは霜柱であかぎれ
伸ばした手のひらは雪でしもやけ
しだいに支える腕にも力が入らなくなってきた

うーん うーん もうだめだ
とうとう北方の神様は
堪えきれず片膝をついてしまったと
天をおさえるバランスが崩れてしまい
気がついた三方の空から声がする

だいじょうぶ しばらく休んだらまた立つぞ
北方の神様は答えたものの
寒さで身体がこわばって
動きたいのに動けない
次第に地面についた膝が
凍りだしてしまった
それから
北の方角からの声は途切れてしまった
他の神様たちもそれぞれ動けず
そのまま今まで時間が流れていったとさ

北の国へ行ってみるといい
夜空に輝く星がはっきりと見えるだろうさ
あれは神様の大きなお顔が
私たちの見えるところまで近づいているんだ
寒くて空気が澄んでるからね
みしるしが拝めるんだよ

むかしむかしから
この世界の四方を支える神様たち
今ではほとんど━━━忘れられてしまった
ただ北方を司る一柱をのぞいて
その名前は
『うるてぃま・とぅーれ』
最北の地に佇む神

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