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スレッドNo.7660

雨・遠景  河辺いすみ

雨に濡れ
髪は小川になる
うつむいた額を雨垂れが伝う 重さのままに

雨粒は集まる
薄い瞼で目を閉じる
滑り込む水から 自分自身を守るために

落ちた雨粒が 短い睫毛に触れる
揺り起こそうとふるえ
あきらめたのか よそに落ちる

きみはいる
細い腕で膝を寄せて
水を被った 白く高い屋上で

痩せた肩に曇天が沈む
背には水が滴る
水煙の向こう 遠い街の方角から
明日の雨雲が迫る

それでも あの街を見下ろそうと
幼く茶色の瞳を細めている

 (よりよく見たい
  けれど薄闇に呑まれていたいような)

半ば霧に覆われ
なお夕焼けにある街で
古い屋根が琥珀色の陽を放つ
硝子窓が雨後にきらめいている

やわらかな両手に抱かれる街
砕け散る光 ひとつひとつに
過去と未来に 目を合わせている

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