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スレッドNo.768

季節工場【秋】  秋さやか

台風の夜の

季節工場には

いつもどこかに飴を忍ばさせた

どこにでもいるような

人たちが集まっていて

ベルトコンベアから流れてくる

空色の薄荷飴を

せっせと割りつづけています


カリンッ
カリンッ



割れたところから

胸をすうっと通りぬける

風が生まれます


そうして台風の去った

しずかな朝

工場の窓を開け放てば

街は秋になるのです


仕事を終えた人たちは

砕けた薄荷飴を受け取って

いちばん最初に

分け合いたい人の元へと

帰ってゆきました

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