季節工場【秋】 秋さやか
台風の夜の
季節工場には
いつもどこかに飴を忍ばさせた
どこにでもいるような
人たちが集まっていて
ベルトコンベアから流れてくる
空色の薄荷飴を
せっせと割りつづけています
カリンッ
カリンッ
と
割れたところから
胸をすうっと通りぬける
風が生まれます
そうして台風の去った
しずかな朝
工場の窓を開け放てば
街は秋になるのです
仕事を終えた人たちは
砕けた薄荷飴を受け取って
いちばん最初に
分け合いたい人の元へと
帰ってゆきました
台風の夜の
季節工場には
いつもどこかに飴を忍ばさせた
どこにでもいるような
人たちが集まっていて
ベルトコンベアから流れてくる
空色の薄荷飴を
せっせと割りつづけています
カリンッ
カリンッ
と
割れたところから
胸をすうっと通りぬける
風が生まれます
そうして台風の去った
しずかな朝
工場の窓を開け放てば
街は秋になるのです
仕事を終えた人たちは
砕けた薄荷飴を受け取って
いちばん最初に
分け合いたい人の元へと
帰ってゆきました