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スレッドNo.7708

苦しみが来ない山  光山登

鈴虫の鳴く夕暮れ。
一匹の蜘蛛がどこまでも続く道を進んでいた。
背後には虫けらたちを従えている。

蜘蛛は王者のように突き進む。
目指すは苦しみが来ない山。

蜘蛛はこの世での目的のない生活に疲れ、
群れでの意味のない生活に疲れ、
子分を従え新たな生活を求めていた。

あの山に登れば苦しみがなくなる、と蜘蛛の賢者は言った。

砂利道を超えて、
砂浜を超えて、
水たまりを乗り越えたときには部下の大部分がいなくなっていた。

みんな快楽に慣れすぎて軟弱になったんだ。
蜘蛛は一人でつぶやいた。

山の入口にたどり着いたときには蜘蛛は一人きりになっていた。

みんなが貪る快楽を否定してたどり着いたこの場所。
蜘蛛は短い脚をバタバタと震わせた。

頂上につけばこの世での苦しみが終わる。
蜘蛛はそう思って脚をそっと前に踏み出した。

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