2026年9月15日から9月17日までのご投稿分の感想と評です 夏生
2026年9月15日から9月17日までのご投稿分の感想と評です。
大変お待たせして、申し訳ございません。
「曇天」 Mayさん
Mayさん、初めまして!
ご投稿くださりありがとうございます。
初めての方は感想のみとさせていただきます。ご了承ください。
では、僭越ながら御作「曇天」の感想を送らせていただきます。
ヘブンリ―ブルーとはなんだろうと調べましたら、アサガオの品種のことだと
あって。藍色のアサガオのしっとりとした美しさに惹かれました。
茎を喰われてしまったヘブンリ―ブルー。
ひとつの脇芽に望みを託して、曇天を見上げる。空梅雨であることが
恨めしく感じながら、読み手も「お願い 青い花を咲かせて」と
願っていました。
短い一篇ですが、すっと気持ちが入る魅力的な流れでした。
次回もお待ちしております。
「ひとり暮らし」 三津山破依さん
三津山破依さん、今回もご投稿くださりありがとうございます!
僭越ながら御作「ひとり暮らし」の評を送らせていただきます。
情景描写でぐっと作品世界に引き込みます。
眩しい陽射しにグンとのびた向日葵が見えて、
暑さを感じる。
<昼はそうめんでいいよね。
<誰かに向かって呟く
ここでひとつの声が二重に響き、またひとつに戻ります。
<生姜はチューブではなく、
すりおろしたい、せめて。
ポットに植えた葱を鋏で刻む
小さなこだわりから強い思いを感じます。
<連絡もなく、盆を越す。
煙がゆらゆらと揺れる
静かな余韻に切なさが残ります。
今度は娘側 ゴルゴンゾーラチーズ
テーブルワイン片手に夜空を見上げる
ペガスス座にはブルーチーズを合わせたいという
こだわり。先の母のお素麺の素朴な雰囲気とは
真逆の味わいがあります。
<孫はまだか、とあの人は。
極上のひとときにふっと現実的な言葉が過る。
娘はそれでもブルーチーズを味わいながらワインを飲み、明日の天気を気にします。
最後の連でお正月のことを考える。でも生まれた土地は遠い。
帰省は難しいようです。せめて地元の酒で、というところに
故郷への思いの深さを感じました。
寂しさと切なさを感じながら。思いのつながりも感じられる一篇でした。
御作佳作とさせていただきます。
「苦しみが来ない山」 光山登さん
光山登さん、初めまして!
初めての方は感想のみとさせていただきます。ご了承ください。
僭越ながら御作「苦しみが来ない山」の感想を送らせていただきます。
この詩の主人公は一匹の蜘蛛です。
初連の情景描写からぐっと惹きこまれました。
<この世での目的のない生活に疲れ、
群れでの意味のない生活に疲れ、
子分を従え新たな生活を求めていた。
蜘蛛が人のように何かを感じ、考えているように見えます。
そして、「苦しみが来ない山」を目指して進んでいきます。
「苦しみが来ない山」とは?と読み手は想像を巡らせます。
同じ目的を持ったはずの子分たちはいなくなって、蜘蛛だけ残った。
それを悲しむわけでも、寂しがるわけでもないところに蜘蛛の王者感が
あります。
<みんなが貪る快楽を否定してたどり着いたこの場所
<頂上につけばこの世での苦しみが終わる
<蜘蛛はそう思って脚をそっと前に踏み出した。
最後に苦しみが来ない、ではなく、苦しみが終わる、と
したところに、自ら命を絶つような印象を受けました。
蜘蛛がそっと踏み出したその先になにがあったのか。
読後も想像を巡らせて答えを探していました。
想像を巡らせる面白さとかなしみを含んだ雰囲気が魅力的な
一篇でした。
光山さんは詩を書く力のある御方だと思います。
またのご投稿をお待ちしています。
「一雫の夜」 ゆづはさん
ゆづはさん、今回もご投稿くださりありがとうございます!
僭越ながら御作「一雫の夜」の評を送らせていただきます。
初連から主人公の心が限界にきていることが窺えます。
<手のひらの液晶を滑る
誰かの指先を
一雫が濡らせればいい
ここに主人公のやさしさが見えます。自分ではなく誰かの心に
そっと響けばいい、と願っているようです。
<親指の熱を吸い取って
画面はすぐに冷えていく
あたたかい思いが届かず冷えてしまうような
寂しさがにじんでいます。
最後の連、やりきれなさを感じたと同時にやさしい感性を
感じました。
ゆづはさんの瑞々しい感性が光った一篇でした。
御作佳作とさせていただきます。