幸せの扉 光山登
秋晴れの穏やかな日の夕暮れどき、僕は心地良い水の流れの上にふんわりと浮かんでいた。
みんな、幸せの扉は狭いと思っている。
だから幸せになれないみたいだ。
きっと幸せの扉はどこにでもある。
さらさらと流れる水の音は、いつも僕を絶頂に連れて行ってくれる。
流れにぷかぷかと身を任せていたら、僕はいつの間にか遠くに来ていたようだ。
他の人は誰もいない。
幸せの扉は狭いと思い込んでいる人たちを、陸に置いてきた。
僕たちは歩いていく必要なんかなかったのに。
みんな、歩き過ぎて、幸せから遠ざかっている。
水の周りで鈴虫がきれいな音で鳴いている。
他の虫たちも合唱に混じって、ひとつの大きなシンフォニーになった。
その調べに耳を傾けていたら、僕はいつしかうとうとと眠ってしまった。