手紙 夏目兼緖
青い時代に私が好きだったあなたへ
あの頃は、自分の気持ちが先で
あなたの事を深く知ろうとはしなかった
ただただ、感情をぶつけ合い
好きか嫌いかであなたを責めた…
今、私に思い出されるのは
俯いて涙を堪えた横顔だけです…
どうか今
あなたを大事にしてくれる人と巡り合い涙を流していませんように。
花の時代に恋したあなたへ
二人とも蝶のように飛び回り
桃色の花、薄紫の花…色々な花へと飛び移った
只々楽しくて
お互いに思いやる事も無く
自由きままに、自分勝手に傷つけてしまったね…
あの頃に戻れたらあなたに聞きたい事は
本当に愛していた蝶は誰か?です
でも、戻れたら私はあなたを問い詰めてしまうでしょう
今は苦い思いでとして笑ってしまいましょうね。
常春のような時代に愛し合った貴方へ
貴方はいつも深い森の中の陽だまりのよう
広くて暖かいその森で、
私は猫の様に心地よく日向ぼっこをします
サラサラと葉が揺れて
私の背中を風が羽の様に撫でてくれます
只々静かで穏やかに…
私が伝えたいのは
ここが永遠に無くならないように
踏み荒らされないように守りたいのです
今愛しているのは貴方ですから。
私が貴方に約束したいのは、
私が森の番人になります
この森が永遠に無くならないように。
ですから、どうか私を愛していてください。
愛する貴方へ
貴方が愛する猫より…