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スレッドNo.7851

感想と評 10/16~10/19 ご投稿分 三浦志郎

1 上原有栖さん 「薫風」 10/16

上原さんも詩のレンジの広いかたなんです。今回は辺りの風景、風の佇まいを端正な文体で描写しています。少し大人しいですが、詩は大人しいくらいがちょうど良いのです。それよりも静かで抒情性のあるもの。非常に良心的な書き方をされています。それがこの詩でしょう。「天空公園」「生き返ってゆく街並み」や、とりわけ2連はいいですねー。「ドリーマーズ・ハイ」は曲名もさることながら、”夢見ることへの高揚感“といった感覚で僕は見ています。終連もフィナーレに相応しい出来栄え。終わり2連が最も美しい。さて、読み終わってみると、冒頭書いた標語「大人しい」は少し修正が加えられそうな気になってきました。そういったニュアンスもあるのですが、「清新の気」。そういった総評のほうが相応しく思われるのです。その方が早朝の風感覚に似あうでしょう。もちろん佳作です。


2 Mayさん 「残像」 10/16

意識不明というより、眠りから醒めた、と解したほうが、事態は良好な気がします。そこで聴いた音楽「FLY Me to the moon」(良い趣味です)、見た夢・「人類を守る自分」、以降、キラキラ、キラキラ……。それ以降「息をして」とカテーテル。「顔を覗く医師」「戻って来た」。点滴か何かの一場面と思われます。さて、タイトル言うところの「残像」ですが、これが何に当たるか、多少謎で、多分に興味あるところです。まずは夢の中の映像、現実に戻ってからの医師の顔、そして最後の「平らな心電図」でしょうか。これを調べると、「T波平低」というそうです。あまり良い症状ではなさそうです。重篤というのではないですが、経過観察といったところでしょうか?どうぞ、お大事にしてください。詩自体で言うと、前回よりもテンションや緊張感があると感じました。ただし、もう少し状況や場面がわかる書き方をしてくれると助かりますね。佳作半歩前です。


3 詩詠犬さん 「夢想する石塊」 10/16

初連は石塊の夢想する事柄なのですが、人間的な記憶が多く入っているのを見ると、この石塊は人間の隠喩であるかもしれない。ただし、それ以降の連を読むと、石塊オンリーの文脈で、これはなかなか良く書けています。「路傍の石」という古い小説があるのですが、その言葉の意味するもの、すなわち「目立たず、居ても居なくてもいいような存在ながら、困難に耐え価値を見出してゆく、そんな存在」だそうです。まさにこの詩の2連以降終わりまでの事と重なるのです。そこを見ておきたい。初連の夢想部分には(人間記憶と読める部分が)少し違和感を感じてしまうのでした。
ここは(2連以降のように) “石塊オンリーの文脈上の夢想”場面で展開されたほうが、統一感もあり、スムーズに読める、そんな気はしたわけです。この詩に課題があるとすれば、初連部分を主要部分の足並みに合わせたい、そういったところです。 佳作一歩前で。


4  月のサカナさん 「廃墟」 10/17

前回は、後半フレーズの伸び切りを指摘したのですが、今回はバッチリこれで良いです。僕はこの人の書き方、フィーリングが好きです。

「閉ざされたまま
祈りは届かない」

廃墟化した教会の心に、悲しいほど鋭く切り込んでゆきます。

「風を追い越して羽ばたく鳥」―これも良いじゃありませんか!今度は逆に終句「眼差しで追いかけた」。ここは「眼差し」だけでは、あまり用をなさない。この言葉は、「〇〇の」といった形容詞が付いて初めて威力を発揮するものです。あと、この詩で総評的に感じるのは(ちょっと無欲、淡白?)といった感触ですね。ちょっと損してる?せっかく良いものをお持ちなのですから、”もう少し書いていい“。”それを充分に活かす構成力・発話性“といったところでしょうか。評価始めですので、佳作二歩前で。やりようによって、すぐ良いところまで行くと思います。


5 相野零次さん 「サイン」 10/17

しっかり読ませて頂きました。僕なりですが、結論から書かせて頂きます。
「誰が悪いわけでもない。これは男と女の性別にみる本来的な違いである」―と、こうなります。
これは実話?あるいはそれに近いフィクション。男って幾つになっても子供のところがあって、自分で主義主張を作って、それの虜に自らなってしまいます。子供が気に入ったおもちゃを放さないようなものです。それが日常ルーティーンになると、この詩のように「仕事から帰る~シャワー~ご飯~いただきます~ごちそうさま」。この流れは崩れません。ひとつの主義の発現形態です。女性はこの鉄壁になかなか入り込めない。本心は「たまには私を見て、気にして、気づいて、話を聞いて」。この詩では女性はドラマを見て悲しくなって泣いた。このことはルーティーンを破るに足る非日常的エピソードです。そういったことを持ち出したかった。出来れば(日本人大好きの)「察して欲しかった」なんです。男は予知者じゃないから、そこまでは読めない。女もその求めには無理がある。誰が悪いわけでもない。ところで、男の子供っぽい主義・主張が趣味に向かえば、さあ、たいへん!「休日は車飛ばして草野球」「会社の人とゴルフ三昧」「隙あらば、バンド、バンド!」「いつもPCに向かって評や、わけわかんない詩書いてる!」etc……。女性、置いてきぼり状態です。直接は書いてないですが、こんな要素もこの詩の背景にはありそうです。「あなたの生き方、別に反対じゃないけど、たまには私を振り返って……」。これが家庭人としての夫婦としての女性のありようと思われます。このタイトル「サイン」は言い得て妙です。そして結論も相手を気づかったステキなものです。やさしいです。これ、評なしにしようと思っていたけど、サインを察して甘め佳作とします。

アフターアワーズ。
当家の場合もー、
このケースとは違いますが、似たような心理背景で、ささいなすれ違いはあるのでした。


6 夏目兼緒さん 「手紙」 10/17

三大構成(連)+結論。そういったフレームで進行します。
まず、青の時代。若かった頃ですね、その功罪。2行目~5行目あたりがポイントになるでしょう。
次に、花の時代。前時代と比べて、少し穏やかで順調。二人の雰囲気にある種のニュアンスが出ているようです。
最後に、常春のような時代、と終連。此処が僕は一番好きですね。詩行が穏やか、優しい、美しい。
おそらく、それは森と猫の功だと思います。自分を猫に比喩したのもいい。ところで、前の2つの時代が「あなた」ですが、終わりの時代は「貴方」となります。おそらく下記のようなことだと推察します。
「あなた」=過去のお相手
「貴方」=現在のお相手

こういった区別は想像されます。もし、そうならば、う~ん、別に構わない気もしますが、
ただし“初見読みや軽く読み”の人は多くの場合、気にするでしょうね。万一の為に、これ、、何とかしときたいんですがねー。ちょっと苦しいんだけど……
「過去 私といてくれたあなた」
「今 私といてくれるあなた」

―みたいな? ここを考慮条件の佳作と致します。 他の理由があればお聞かせください。


7 虹乃衣里絵さん 「ライブハウスへようこそ」 10/17

評者も若い頃、かなりの程度でロックミュージックと関っていました。60年~70年代です。
そんな経験から言うと、演奏者も聴衆も巻き込むライブハウスとはこの詩の通りなんです。
ましてやロックンロール。シンプル・アンド・ヘヴィーがお約束。理屈など無い世界に成立する別世界なんです。(もちろん、常識はわきまえて)。マニアな世界なので一般の人は入りづらい、というか、来ません。だから余計コアな塊り感、共通感、連帯感が生まれます。だから励まされ癒されハイになって、明日を迎えることができるのです。そういったパワーからすると、僕はこの音楽を、ライブハウスという場所を、容認することができます。パワーとシンプル属性がより徹底するほど、この音楽は価値が高い。そう思っています。ところで、詩に戻ります。
それでですねー、「ロック~ライブハウス」を詩にすると、どうしてもこういった傾向になります。自然なことなんです。ただし純粋な詩作のありよう・テクニックとは少し違うと僕は思うのです。従って、本作は「番外篇」ということで、評価は見送りたいと存じます。失礼をー……。

アフターアワーズ。
客観としての「辛気臭い音楽」というのは無いと思いますねー。詩と同様、音楽はあくまで主観世界なので、単に好き嫌いでしょう。むしろそれは自然です。そういったレベルでの表現かと思います。具体的に書いてくれなくて良かったです。僕にも嫌いな音楽はあります。これまた具体的には書きませんがね。


8 蔵さん 「朝が来る。」 10/19 初めてのかたなので、今回は感想のみ書かせて頂きます。

この詩は内容と同様、文字や詩行のポジション、言葉のデザイニングが良いのです。詩が小説と差別化できる点は、ひとつにかかって、このデザイニングにある、とさえ思っています。
「長→短、長→短」で作り出すビート感、造形感です。聴覚であり映像感です。音楽に似ています。
長フレーズもすぐれて詩的です。それと「ああ、朝が来る」のシンプルさが噛み合っています。
ピンポイントで当たると「白さ」ではなく「白み」としたセンス。「わたし」ではなく「わたくし」としたことによって得られた格調。この一作を見る限り、書ける人のようです。また書いてみてください。


9 ベルさん 「夢とゆめ」 10/19

ベルさんにはお詫びしなければならない事がございます。ずっとバックナンバーを辿っていたのですが、結構投稿があったにも拘わらず、何故か途中で「初めてのかたなので~」といったコメントを入れていました。謹んでお詫び申し上げます。  さて、今回です。

日常的文体の中で、時の流れや来歴を語ります。最近、こういった懐古調というか、しみじみしたものが少なくなって寂しく思っている層もいるでしょう(いわんや、年配をおいておや)。もちろん、若い方がこういった風情をかいてくれるのも大歓迎なわけです。
「父ちゃん、母ちゃん」「団地」の呼び名、「おでん屋」が庶民性を呼び込んでいます。特におでん屋をエピソードの主軸にしたのが良かった気がします。けれど、父ちゃん、お酒呑めないのに、おでん屋にこだわっていたのはおもしろいな。人情があったのでしょう。

「昭和は歴史になっていた」―その通りですよねえ(しみじみ涙)。

昭和平成令和と時は繋がれていきますが、そんな中にあっても、この詩の締めくくりは父ちゃんと母ちゃんへの思いですね。人情があったのでしょう。 甘い佳作を。ところで、「ゆめ」と「夢」で書き分けた理由がよくわかりませんでした。


評のおわりに。

最近、やっぱり寒くなってきました。
10月もあと1週間で終わり。
さて、インフルエンザ予防接種をしておきましょうかね。
では、また。

編集・削除(編集済: 2026年10月24日 16:27)

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