東の空 aristotles200
通勤路
晩秋の早朝
連絡橋を歩いている
通勤客は
青白い街灯に照らされ
影がくっきりと現れる
たくさんの
足音が
ビルの谷間に響く
左に曲がり
エスカレーターを降り
連絡駅に向かう
影は
曲がらず
真っ直ぐに去っていく
目の前には
影のない通勤客が
改札に向かって歩いている
改札を越えて
それぞれのホームへと
消えていく
ホームに上がる
無人
いや
無数の影が
ホームに立っている
アナウンス
電車が
音と影のみで
入構してくる
人影は
次々と乗り込み
電車は去っていく
誰もいない
改札に向かい
外に出た
ビルが消えて
長い影
道は
車の影が動いている
侵食
音は消え去り
地平線を
無数の影が覆う
東の空が
赤色に染まっていく
世界は
黒と赤に染まり
独り
立ちすくむ
私には影がある
影に向かって
話す
いいよ
影は
私から離れ
影の街に帰っていった
身体が
消えていく