サクラの味 蔵
"継母(かあ)さま、
これはサクラのチョコレートだというの
マーケットでみつけたの
サクラの花は見たことあるけれど
食べたことなどないの
ねえ 継母さま、
これはサクラの味なのかしら?"
桜の味を知らないあなたが
桜の味を知るわたくしへ
届けてくれたプレゼント
甘くて、甘くて、噛むことなどもったいなくて
舌に乗る桜の風味をゆっくりと味わう
「ええ、とても、桜の味よ」
「ではこれが、サクラの味なのね」
日本の地を踏むことなく
わたくしの故郷に想いを馳せるあなた
いつかあなたと訪れることができたなら
共に桜を味わい
一緒にこの異郷に戻り
わたくしは静かに老いを生き
やがてこの土地の土へと還るのでしょう
あなたが届けてくれた
桜の味とともに