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スレッドNo.822

山  エイジ

そこに一つの険しい山があった
標高三千メートルと言われている
万年雪 降り積もる山

人は僕にその山を越えろという
僕には到底無理に思えた
麓からは頂上は見えず
山は暗雲の中へとそびえ立っている
まるで無明の頂き

僕は登山靴の紐を固く結び
トレッキングポールを突いて
登っていくことにした
ザクッ ザクッ ザクッ
リュックを背負って
砂利道を踏みしめて行く
ただ淡々と登っていくしかない

しばらく登ると
ペトリコールの匂いがしてきた
「夜雨だ」
ボツ ボツ ボツ ボツ
足場が悪くなる中
それでも一歩一歩進んでいく

すると崖に突き当った
急な崖に這いつくばって登っていく
一段一段 足元を確かめながら
靴だけでなく
手も夜雨に濡れて

深夜になり
体力も限界に感じてきた
その時 崖で足を踏み外した!
ボロロ…ボロロ…
足元の崖の一部が崩れた
しばらくじっとその場で休んで
落ち着きを取り戻すと
また上へ上へ登っていく

明け方近くに
頂上に着いた
はぁはぁ ぜぃぜぃ
体力は限界を超えていたが
日の出が僕を祝福してくれてるようだった

嬉しい気持ちも束の間
その山の向こうに
もっと高い山がそびえ立っている
人はその山も僕に越えて行けという

人生には次から次へと
登らねばならぬ山があって
生きている限り
その歩を休めることはできない
最後は死という名の
越えられない山に
僕は突き当るのだ

それがいつなのか
足元で確かめながら
次の山を越えるところだ

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