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スレッドNo.883

ねえ また一緒に詩を書こうよ 紫陽花

20年振りくらいに見た中学の同級生
私はフリーペーパー配りのアルバイト中
彼女は1歳手前くらいの赤ちゃんを抱っこ紐で抱え
手には小さい聖書のような物を持っていた

 あ、まだ宗教活動してるんだ
20年ほど前に彼女から宗教勧誘を受けたことを思い出した

私と彼女はちょうど同じ家に2人してポストにビラを入れようと向かっていた
なんて偶然
私は少し気が重くなったが 彼女は迷いのない笑顔で話しかけてきた
ああ久しぶり!今仕事中なんね?これからちょっと時間ある?懐かしいから 少しカフェでお茶しよう?
何とも昔から押しに弱い私はうんと頷いてしまう
賑やかな通りの裏に突然現れるSALONCOCOなんていうピンクが基調のカフェに入ることになった
店内は至る所天使の飾りだらけ 平日の1時過ぎ店内はガラガラだ
お2人様ですねとこれまたフリルいっぱいのエプロン姿のウエイトレスさんが可愛い
席に着いて 彼女は珈琲私はココアを頼む
早速彼女は目をキラキラさせて言いたいことを一方的に話してくる
宗教活動20年目の彼女は宗教本を慣れた手つきで開いたり閉じたり
時々一生懸命私を見ながら
優等生だった彼女に似たのか赤ちゃんは時々動くけどとても静か
彼女の話だけが白熱してきた
この宗教を信仰すれば絶対幸せになれるから 私幸せになったから
学生時代は親に色々強制されて不幸だったけどやっと親とは違う信じるものが出来たの
公務員にもなったけど上に虐められて辞めてしまった
ただ宗教のところでは幹部にもなれて宗教だけは私を認めてくれた
20年ずっと続けられたのは宗教だけなの
これは素晴らしいの 一緒に幸せになろう  だいたいこんな事を繰り返している

私はというとこの20年 宗教に浸かってたあなたに会いたくなくて距離を置いていた
何だかごめんなさい
学生時代は私も似たようなもの テレビやゲームは全て禁止 親の言うことは絶対だった
親元を離れて私は自分勝手だから自分だけを信じていた
私も仕事はいくつか変わった 
確かに虐めてくる人もいたけど 味方になってくれる人もいた
私はわがままなのでコロコロ変わる他人の評価は気にしなかった
永遠に変わらない価値観なんて多分ないから
私はひたすら私が大好きでとどのつまり割と1人が好きな人間だ
彼女は自分よりその神様が大好きでその神様の価値観は永遠と信じている
その神様を信じる仲間との愛が温かいんだろう

何より目の前にいる彼女が最新のAIを搭載した宗教勧誘ロボにしか見えなくなってきた
どんな時も私を温めてくれるココアも今は無味だ
さっきまで聞こえていた店内BGMも聞こえなくなった
頭の中に昔見たテレビの砂嵐の音と画像がちらちらしてきた

彼女の話を上の空で聞きながら中学2年6組13番と19番
隣の席で 昨日新聞に投稿してた詩が載ったの見てね
と嬉しそうに話す少女だった彼女を思い出していた
また一緒に詩を書こうって 言ってほしい

編集・削除(編集済: 2022年10月25日 19:26)

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