十七歳のソネット ― 情熱の原点 ― U.
―― 夢しかない中で窒息してしまいそうな時に ――
流れる十月の空気だけが止まった陽の中で
恋人の甘えのように絡みつく
蒼ざめた身体を両手で抱きしめ
内に潜む震えに身を摺り寄せる
秋にしてはやけに暖かな風が
死に絶えた夏の亡骸を弄ぶ
夏の忘れ物のようなこの風が
私達の間をすり抜ける
迷路の中で行く先を見失い
子猫のようにただ泣いていた
それでも、胸には夏の陽が潜み
良く分からない想いをただ吐き出していた
そして、いつも教室の開け放たれたドアの向こうを、見続けていた
夢の向こう側にあるものを、見続けていた