MENU
949,262

スレッドNo.915

晩秋の風  荻座利守

ざわめく木の葉が
いたわりの風を送り

しずやかな陽が
落葉に降りそそぐ晩秋

やがて訪れるしじまの季へ
鎮まりゆく息の内

寂しげな地はその面に
遠い黄昏空の色を重ねて

月がその眼を細める夜には
虫の声は人知れず
揺籃歌へと羽化してゆく

草木の稔りは
色とりどりの渡し船

小さな命を
次の岸へと渡しはじめる

時が眠りに就く季節の
遠い足音が
微かに落葉を震わせて

やわらかな風が
いたわりを運び終えるまで
ほんのつかの間

優しげな歌に揺れる小舟を
仄かな安らぎが
そっと包み込んでゆく

編集・削除(未編集)

ロケットBBS

Page Top