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スレッドNo.935

車窓は語る  理蝶

朝露に濡れた選挙ポスターは
嘘がばれて
冷や汗をかいているよう

神との和解を
黒地に黄色で迫る板
それはブロック塀で
静かな怒りを湛えている

赤茶けた喫茶店の軒先に
枯れた花と爛れた看板
忘れられた店先を
前衛的に覆う蔦

中身だけは入れ替わり続ける
00年代を依然背負うスーパーマーケット 
それは植物人間の悲しさに似ている

セイウチのように太った老婆や
水色のランドセル背負う少女
バス停にて彼女達は手を振り
しばしの別れを告げる

景色を微かにセピア色にして
切なくさせるのは
窓に張った10年物の土埃

ヒビだらけのアスファルトと
その上をがなりながら走るバス

薄汚れたそして薄ら寒い
見慣れたもう見尽くした
その車窓に
私は人のため息の2つの意味を知るのだ

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