転がるスイカ もりた りの
なだらかなに続く石畳の坂を登っていると
目の前に丸いスイカが一つ転がってきた
転がるスイカの前に行きスイカを受け止めた
スイカを持ち上げると痛んでいて割れ目が入っている
遠く坂の上には誰も見えない
誰かが落としてしまったのだろう
わたしはスイカを届けてあげようと坂を登った
坂の上に影が現れてまた一つのスイカが転がってきた
八百屋さんがトラックから落としてしまったのだろう
もう一つのスイカを受け止めてスイカを両手に坂を登った
また坂の上から二つのスイカが転がってきた
わたしは大股を開いて両足でスイカを受け止めた
身動きできないところに三つのスイカが転がってきた
白いシャツがスイカの汁で赤く染まっている
周りを見渡しても誰もいない
道は広いしどうしたらいいんだろう
わたしは思わず腕を下ろして両肘で三つのスイカを受け止めた
坂の上を見るとトラック一台分ものスイカが転がってきた
どうしてこんなに転がってくるんだ
坂の上でなにかがあったに違いない
転がってくるたくさんのスイカに圧し潰されそうになり
わたしはスイカを手離して転がるスイカをかわした
全身びしょびしょになりやれやれと思ったところに
川のようにスイカが転がってきた
どうしてこんなに転がってくるんだ
誰かスイカを止めてくれ