文 妻咲邦香
一筋の道が与えられた
細く頼り無い道具を握り
だが実際その手にしたものは何か
幸いにもそれを前にして
私は思い悩むことが出来る
月日は流れても、形にしたものは変わらない
想いはそのままの姿で
瞼の裏で走り続ける
だから私は立ち止まるのです
この手をすり抜けなかった強い気持ちの前で
誰かを壊してしまわぬように
貴方に溺れてしまわぬように
何を伝えるか
何を選び、また何を綴れるか
消えては現れ、現れては消え
朝を待って
美しかった思い出に幕を引く
真っ白な海に向かい
翼を広げる
乗る風は偽ることを知らず
喜びを以て、喜びを真似る
最後は声に従い
何もかも、許してしまう
ありがとうと一言
結んで
また一人