見えない場所 妻咲邦香
正しさを知らず
その手を振りほどき駆け出した
迷うこともわかってた
立ち止まることも
孤独は楽しいよ
でも言えない言葉の方が多い
誰でもいいわけじゃないから
胸が苦しむんだ
私を選んでと
それだけ言いたかった
最後に一言
言えたらもう言わない
揺られて生きて、汚れていくけど
見えない星が葉陰の向こう
いつでもこっちを覗いてる
気付いてるんだ
それは私だけかもしれなくて
力一杯握った拳
見つけてもらえる日のために
山の向こう
沈む原始の焔を追った
誰も愛さない
そんなわがまま一つだけ
世界は優しいと信じられるから
私を選んでと、ただそれだけ
伝えるためだけにぼろぼろになる
もう形も何もないよ
それでも行くからね
選んでください
一番最後でいいから
私が夕陽になる
そして山の向こう
転がり落ちていく
誰にも知られない場所へと落ちて
だから全部
一欠片も残さずに言えたなら
あとはもういい
たぶん二度と
言わない