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スレッドNo.991

季節工場【冬】  秋さやか

会わないことと

会えないことの隔たりの深さで

星の瞬く夜

季節工場の大きな暖炉の前に

人々が列を成します


亡き人へ宛てた手紙を

燃やすために

訪れた人々の列は

星空の下まで続いています


ー ある朝 届いた

工場からの手紙には

まっしろな便箋だけが入っていました


郵便受けへ寄りかかり

静かに吐いた息の白さが

伝えられなかった言葉のようで

部屋に戻るやいなや

いつか街でもらった羽根ペンを握ったのです


ひとこと 書き出せば

とめどなく溢れてくる

後悔や寂しさや痛みに耐えながら

あなたへの手紙をしたためました ー


人々が暖炉の前に立ち

どこか遠い景をたたえた瞳で

そっとくべた手紙は

さまよう蛍のような

火の粉となって消えてゆきます


その束の間の暖かさに

くずおれそうになるけれど

寄るべない両手をポケットへ突っ込むと

またゆっくりと歩き出します


工場の煙突から

立ちのぼり続ける煙は

星空を覆う雲となり

時計塔の針が真夜中を告げるころ

この年 初めての雪を降らせるのです


暗闇へほのかに灯る

ひとひら 

ひとひら 

それは

まっしろな返信


「 ちゃんと つたわっていたよ 」


どこかの停車場

誰かの帰路

わたしの窓辺から

冷たい夜空へ手を伸ばし

そっと雪片を受けとめれば

指の先まで巡る血に

懐かしいぬくもりを

見いだすことでしょう



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いつもお世話になっております。
私事になりますが、先日、養老町第23回「家族の絆 愛の詩」で佳作入選、伊藤園新俳句大賞で佳作特別賞を頂くことができました。
これもMY DEARの評者の皆様のご指導のお陰です。
詩と俳句は使う思考回路が違うようで切り替えに戸惑うのですが、繋がっている部分もあっておもしろいです。
これからもご指導頂き、自分で納得いく詩が書けるよう精進したいと思います。
試作ペースが遅いのですが、今後とも宜しくお願いいたします。
季節工場、秋冬は作れたので、春夏も作れたら良いなと思っておりますが、それは冬が終わるころ考えたいと思います。。

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