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スレッドNo.1264

コロラドの荒野を雁と並走す

子どもの頃は夕方の空を雁の一群が棹型や鉤型に並んで飛んでゆくのを見かけたが、いつの頃からか見かけなくなった。雁の一群を間近で見かけたのはコロラドのデンバー空港から新しく出来たハイウェイが仕事先のボルダーまで一番早く着くと仕事先の技術者に言われて来たのだが、新しく出来たのでナヴィにはまだ載っておらず、荒野の中を走っているようで運転手(営業の若手がわたくしがいつも借りるヴォルボの高級車を運転したがって一生のお願いと泣かんばかりに懇願するので渋滞する土地柄ではないし、なにせ日本よりでかい州なのでバッファローの群れがいるくらいである)がびびることびびること。しかもわたくしが作った哀愁のJAZZを流すと「死にたくなるような陰気な曲だ」とぶーたれるし、じゃあどんな曲がいいんだと言うと「松田聖子」バカヤローなんで、コロラドまで来て松田聖子を聴かなけりゃならんのだ、貴様放り出してバッファローに踏みつぶさせるぞと脅すと黙って運転していたが、ふと前方を見ると夕焼けの中を雁の一群が見事な隊列を組んで飛んでおり、見惚れていると、ぐんぐん降りて来て突っ込んでくるので運転手が(上の猫の写真の左から二番目がそいつである)びびりばびりぶーで、雁はハイウェイ右手の荒野に降りようとしているのに、結構間近で見る雁はでかくてぐおんぐおん鳴きながら逆並走しているので逃げようとハンドルがぶれるので道路から飛び出したらこちらも無事には済まないから「速度を落として道路だけを見て走れ」と落ち着かせて雁の一群が次々に荒野へ舞い降りるのに見惚れた。すごいはコロラドは、と雁の並行して降りてゆく姿に感動した。

ボルダーはコロラド大学があるので若者たちに人気があり、夏は世界中からの観光客が大道芸人を見に集まってくる別世界のように賑わう街だが、高地なので日本のマラソン選手もここで訓練するから、日本食も韓国人ではなく日本人が作るから日本食には困らないが、わたくしの定宿にしているホテルBoulderadoは100年以上の歴史を誇る一番古い建物で、ここの鹿肉の焼いてブルーベリー・ソースを垂らした料理が絶品で、山の上のレストランはエンペラー・メニューという平成天皇御夫妻が戦争中に唯一日本人を敵国民扱いして収容所で迫害するといった蛮行を禁止したことに感謝の意を述べに渡米なされたときのメニューが残されていて、実はわたくしもそのお裾分けをいただいた。天皇皇后に献上された赤ワインは注がれた途端どこからか流れて来る香りの素晴らしさにワインから漂ってきたのかとおどろかされた。飛行機事故で亡くなった若い天才ワイン醸造家の遺した最後の一本はわたくしが飲んだ最高のワインだった。イタリアのワインも香りが強いが、そのワインの香りは刺激ではなく天使が通り過ぎるような沈黙をもたらした魔法のようなピノ・ノアール種だった。

引用して返信編集・削除(編集済: 2023年08月18日 04:20)

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