絵団扇の端を噛みたる娘かな
夕立はあるだろうがもう梅雨らしい雨は一昨日で終わったような気がするが、梅雨が明けると今度は未曽有の暑い夏が来そうである。さすがに37℃を越えると日向の舗道は体温を越える40℃の灼熱の気温で、これは老人は外出危険のアラートが鳴り、いつもはバス停二つくらい歩いて買い物に行く距離でも脳味噌が帽子をかぶっていても目まいのする暑さで、記憶がどんどん焼けて俳句どころではなく、クーラーの効いた場所でなければ吟行も出来ないと言った有様で、先週土曜日の原宿の太田記念美術館の「国芳の団扇絵 猫と歌舞伎とチャキチャキ娘展」は8名の予定が転倒、骨折、夏風邪、熱中症でたった4人の有様だった。どうも熱中症コロナというワクチンの効かない新種のコロナKp.3というのが猛威を振っているらしい。美術館なら涼しいし、爺さん婆さんも歩き回らなくて済むだろうと思ったのだが、いやはや。
国芳の団扇絵は良質な保存による220点の美品が並び、それを前期後期に分けて百点づつ展示したもので、肉筆も含めて奇跡的な保管に驚かされたが、多色刷りの絵師・彫師・摺氏の三位一体の技量は江戸の心意気を見る思いだった。それにしても美しく描かれた美人画が当時の美意識の違いというか全員ちあきなおみのような長い顔で下唇が突き出ているのには参った。まあ、奈良時代の美人はお多福のように肥えていたから時代の美意識というもので勿論鳩胸でっ尻(ちり)の娘もいない。風呂上がりの浴衣を汗を吸い取るので手拭いならぬ「身拭(みぬぐい)」と呼ばれ、天保の改革で庶民は絹を着られなくなって木綿の身拭が普及し、それが湯上がりや寝間着から、そのまま外出着の「浴衣」になったということも団扇絵からわかる。戦乱の憂き世が終わり平和になって「浮世」に替わったという流れもわかる。
絵団扇をひらひら娘シャキシャキ来 猫髭
絵団扇の娘馬づらしやくれ顎
絵団扇や憂き世見栄切る團十郎
絵団扇や淡き色より摺り重ね
絵団扇の風の通ひ路膝枕
最後の句はあざとい句を詠んだと思ったが特選を含む高点句となった。先月も最高得点句となったが15分でやっつけ詠みしたのとは異なり少しはましかと思ったがやはりあざといなあ。
