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スレッドNo.229

孫の手は秋こそ良けれ逸(はぐ)れ雲

夕べは飲み屋で飲んだ「銀嶺立山」が軒を出た途端に醒める「軒醒め」ではなく、村を出るまで酔いが心地よく続く「村醒め」の旨口の酒だったので、灌木さんの「秋」につないで書いているうちに寝落ちしてしまったので「秋」つなぎで。

温厚なお吟さんが「開かない日はない電子辞書の歳時記は角川ですのに、一度しかない一生、清く正しく生きることをしないでどうします!!」とビックリマーク二つもおっ立てて憤っているので、すは一大事、何ごとかと右顧左眄しても、前のラスカルはのんびりバウムクーヘン食ってるし、わたくしも「清く正しく」生きているわけではないが「清く貧しく」は本人の意思ではないが金銭的な縛りでそう生きざるを得ないので猫に怒っているわけでもない。となると残りは「角川ですのに」の角川ということになり、俳句は好きだと言っているから俳句が原因ではないということになると実生活のことかとなり、「作品が作家の顔だ」というわたくしの手には余る。が、角川源義の女漁りはつとに名高く、角川春樹のコカイン密輸事件はあれだけ派手に流れれば薬物嫌いのわたくしの耳にも届くし、角川歴彦のオリンピック賄賂事件など、どいつもこいつも脛に傷持つ身で、わたくしの手には負えない。ちなみにわたくしは角川源義の俳句も角川春樹の俳句もほとんど興味がないので読んでいない。君子ではないが、危うきに近寄らず。幼稚園児からの映画ファンとしては洪水のような角川映画の「絵にも描けない面白さ」といった小説と映画は全く別物なのに混同する愚かさのキャッチフレーズの胡散臭さが鼻について、二十余年後俳壇に立ち寄った時には角川そのものの出版社としての位置づけが低かったのかも知れませんが、作品というものは良きにつけつけ悪しきにつけ出会うものなので。勿論作品主義のわたくしは作品しか見ないので良い本も(特に『校本芭蕉全集』全十巻は画期的偉業)良い映画もわかりますが、黒幕(フィクサー)には近づかなかったということでしょう。例えば『犬神家の一族』は監督が市川崑ですから『ビルマの竪琴』『炎上』『おとうと』『私は二歳』『東京オリンピック』『股旅』、『木枯し紋次郎』といった映画を撮った名匠が角川映画を撮ったとしてもそれほどひどい出来にはなりません。主題歌は今でもわたくしの愛唱歌です。シャンソン歌手金子由香利の歌が絶品で、毎日聴いても飽きません。猫髭の隣の矢印をクリック♪

ということで、わけのわからない話はそれぐらいにして、今夜は猫髭添削の第二夜で、またまた元気な後期高齢者の御登場(^^)。中秋の名月を詠んだので添削してくれと。ど素人の弟子が月一で添削講座を開いて欲しいと。台風が土曜に来るから今日しかないねと「やすらぎ亭」という名月を詠んだ店に呼ばれました。で、俳句は。

  満月や 漆黒の空に 冴えわたり

いきなり「満月」という秋の季語と「冴え」という冬の季語が出て来て、「冴ゆる月」という冬の季語もあるからこれじゃあ冬の月になるよ、であえなくボツ。中八にしてまで「漆黒の空に」と言っても「満月や」で空の暗さも入っているわけだから言わずもがなです。他の色の空があるなら持って来いby 夏木先生。二句目は、

  暗幕に はりつけられた 月上る

「暗幕に」は比喩、「はりつけられた」も比喩。比喩を二回続けると「噓」になります。残るのは「月上る」という季語だけ、これまた轟沈。

  漬物を つけただけの 夏の過ぐ

おどりゃあ、中六じゃねえか!「二月の」を「にんがつの」「牡丹(ぼたん)の」や「蜻蛉(とんぼ)の」などの場合も、「ぼうたんの」「とんぼうの」と昔の俳人たちはインチキをしてまで、字足らずになることを嫌った、それほど字足らずは良くない。字足らずが載っただけでこの結社は字足らずを詠む同人がいると俳壇追放になるほどの犯罪に等しい。字あまりも良くないが、上座に据えれば中七、下五のリズムで取り返せますが、中六の字足らずは全員ずっこけるのでアカマムシドリンク!それにしてもナニコレ?「ウクレレを始めたんですけど、若い先生が僕は彼女もいなくて今年の夏も漬物つけただけで過ぎちゃったんですよ」と嘆いてたのが面白くて。

それなら、具体的に何の漬物かを描くだけで、白瓜だったら爽やかな感じになるし小茄子漬だったら辛子味噌かりんご酢漬かでも読者の想像を掻き立てるし、西瓜の皮の古漬になってしまったとかも豪快な感じの失恋になるとか、漬ける素材によって俳句の表情は変わるから、自分が一番実感があるものを選べばいい。そうすれが「夏の過ぐ」といった手垢の付いた失恋イメージは避けられる。歌にしても矢沢永吉の「さらば夏よ」も「時間よ止まれ」も映画の『思い出の夏』もみんな「うたかたの恋」の象徴だから英語で「Sommer almost gone」と言えばロックンロールでも恋の終わりを表しているようなもので(ドアーズの歌)、俳句では付き過ぎになるから、どんな漬物を漬けたかで侘しさを出せばいいかチャレンジして見なさい。

  柿色の ジャケット着て 秋彼岸

また中六!「ジャ」も「ッ」も俳句では一文字と数えるのよ。「これ覚えてますか、このジャケット」と彼女が見せてくれたのは御主人がデイサービスの入浴に出かける際に着ていたウインド・ブレーカーだったので覚えてますよと答えたら、「亡くなった人の物ですみませんが猫髭さんには一番お世話になったので形見に貰っていただけないかと、綺麗に洗濯しましたから」と差し出すではないか。サイズもLなのでちょうどいいサイズで、さすがに「形見分け」は断れない。ありがたく頂戴しました。その時に「柿色の形見の服」と続ければKa音で頭韻が踏めると気づいて、これは御主人の思いとあなたの思いとわたくしの思いが込められた俳句ですから、三人の気持を受け止めてくれる季語を探しましょうということになった。ウインド・ブレーカーだから寒くなっても着られるねえと話しているうちに季語が私でなければ駄目と働きかけてきた。

  柿色の形見の服や冬隣

偶然、服Fukuと冬FuyuとFu音の韻を踏んでいる。秋なのに冬まで暖かく寒さを防げる思いも全部この季語が受け止めている。

「主人は最後に私のことを解放してくれたんだと思います。三年半本当に献身してもう限界に来ていました。それで病院から見放されても私のために三年半生きてくれたんだって。猫髭さんがヘルパーに来てくれてビートルズ・ファンだった主人にとってデビューした時からビートルズやリバプールサウンドまで全部知ってる猫髭さんが話し相手になってどれだけ主人が勇気づけられたか。尿道カテーテルも取れて、ひもトレで自力で起き上がれるようになって、先生も奇跡を見ているようで学界で発表したり、でも、もういいよって主人は最期にがんばることをやめたんだなってわかりました」そう言って彼女は涙を浮かべた。御主人と奥さんとヘルパーの三人が作った俳句だった。これ一句で今日来た甲斐があったと彼女は喜び、あと三人くらい仲間を誘ってこんなに俳句って楽しくて人生を深く知ることが出来るって、くすぶっている人たちに知らせてあげたいんです、って勘弁してよ~。(*^▽^*)ゞ。

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