金蛇の影のみ残し八重木槿
金蛇を見かけたが剪定作業で地面に草が多く、28℃あったせいか動きもすばしっこくて尻尾の影しか追えず、見上げると紅木槿が咲いていたが、底紅がない。十年毎週見続けていたのに一重の木槿の他に八重の紅木槿が隣にあったのに気づかなかったとは。
底紅の咲く隣にもまなむすめ 後藤夜半
遺句集『底紅』のタイトルになった句で後藤夜半の忌日を「底紅忌」と呼ぶ由縁の句だが、「も」を使うと焦点がぼやけるから絶対に使ってはいけない助詞だと教わって甘い句だと思っていた。
底紅のしぼみながらに紅を巻く 猫髭
の方が卍を描きながら一日で散る花の終わりを射止めていると思っていたが、二人の娘の父親になってみると、夜半の「も」の意味がわかった。我が家にも愛娘がいるという「も」だった。「も」を使うと焦点がぼやけるという俳人は「も」を使うには愛薄き人生しか見えていないのだろう。
