高齢者講習真顔湯気立に
かろうじてまだ六十代なのに「高齢者講習通知書」が来たもので、「誰に向こうて言ようるんなら!」と、お吟さん怒ってほおっておいた。1か月経ったころ金蠅に言うと、「馬鹿じゃないの!早くしないと大変なことになるよ」と叱られ、まあ、手足がすらりと長くて50代にしか見えない金蠅も講習を受けたのならと、予約しておいた教習所へ行ってきた。
早めに行くと、駐車場がいっぱいだ。まだ先客達の講習が終っていないらしい。「年寄が早ようから来て」と整理の所員が怒っている。さてはじまると、講習の説明は、まるで幼稚園児に言い聞かすようである。
動体視力の検査。「見えない人に限っておでこを押しつけて、器械をひっくり返えされたことがあるので、おでこで押さないこと!」夜間視力の検査。「眼科に掛かっている人はいませんか?光を凝視する検査で失明した人がいます」
ちなみにお吟さんは、この、光を見た後の視力の回復を調べる「夜間視力」の検査で20代との判定をもらった。実に簡単すぎる講習で、達成感がなかったので、お口直しに図書館で繊細な水彩画を模写して帰った(笑)。
着ぶくれて犬の元気を持て余す 井ヶ田杞夏
