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スレッドNo.2821

春の野に煙草ふかすに師匠似と

鎌倉彫は透明度の高い透漆(すきうるし。くろめ漆のこと)に朱色の顔料をまぜ合わせた、上塗り漆を塗るので朱いのが特徴で背景は、刀痕を残すため、これは黒漆は鎌倉彫とは言わないのでは。逗子・鎌倉に35年住んでいたから鎌倉彫は厭というほど見て来たがいいと思ったことは一度もない。だいたいお盆の表面が凸凹しているのが気に食わないしデザインも禅坊主の自己主張が武骨で野暮の極み。漆作家だった店主のお母さんの形見のお品の方が鎌倉彫よりよほどいい。鎌倉の鰻家『つるや』の鎌倉彫風重箱は村松梢風の折鶴のデザインだがこちらの方がよほど粋である。うまい鰻屋があると妻子を連れて行ったらなんと娘の同級生の家だった。ここは客が来てから鰻を捌くので1時間近く待たせるのでわたくしはいつも柳川鍋を頼んで一杯やりながら待つのが習いだった。川端康成と田中絹代も贔屓にしていたそうで、小林秀雄も今日出海とのゴルフの帰りにここに寄っていたらしい。全然知らなかった。小林秀雄は行きつけの店の主に『本居宣長』のサイン本を持参していたらしいが、猫鬚一家の行きつけの天麩羅屋『ひろみ』も小林秀雄の行きつけの店で、主はわたくしが小林秀雄ファンなのを知っていたのでサイン入りの『本居宣長』を見せびらかしたのでサイン本などを欲しがるミーハーではないが内心忸怩たる思いであった。行きつけの居酒屋『奈可川』にも小林秀雄と永井龍男が侃々諤々やっていたそうで、知らなかったとはいえ、小林秀雄や小津安二郎が通う店にわたくしは独身時代から入り浸っていたのだ。まあ、うまい店は静かな佇まいを一見持つもので騒ぐ奴バラを寄せ付けない。横浜中華街でも池波正太郎や丸谷才一の行きつけの店は他のまずい、とは言わないが、そこでしか食べられない絶品のメニューがない店が行列をなすのに、いつも空いているようなものか。常連は何十年もかけて贔屓の店の常連になったのであり、贔屓の店は知らない有象無象のやからには吹聴しないものである。

あ、話が鎌倉彫から脱線した。ここ数日三月から四月の馬鹿陽気で、紅梅や白梅が一気に満開となり、冬布団だと汗を掻くほどだったが、馬鹿陽気のせいか神経がほぐれたようで明らかに表情が改善している。冬来たりなば春遠からじ、か。

引用して返信編集・削除(編集済: 2025年02月17日 22:52)

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